法話10 | PADME

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人生を豊かに

中国唐の時代の人で、日本でも有名な詩人の白居易(はくきょい、772~846年、別名 白楽天)は、生涯4000首の詩を作ったといわれています。その白居易は禅宗に真髄し、浙江省杭州の泰望山に住する鳥窠道林(ちょうかどうりん、741~824年、円修禅師)に「仏教の真髄は何か」と尋ねたところ、鳥窠和尚は「諸悪莫作・衆善奉行(諸々に悪を行わず、善を行うこと)」と答えたといいます。

ところが白居易は「そんなこと3才の子供でも知っていますよ」鳥窠和尚の答えに不服を述べたのです。

それに対し鳥窠和尚は、「確かに3才の子供でも知っている。しかし80年生きた老人であっても、この道理に沿って生きることは難しい」と答えたのです。白居易はすぐさまその意を悟り、鳥窠和尚に謝ったという逸話が残ってます。

 

「諸悪莫作・衆善奉行・自浄其意・是諸仏教」この言葉は仏教で有名な「七仏通戒偈」(しちぶつつうかいげ)という禁戒の言葉です。

例えば、坐禅をするということも、結局は自らの心を浄くする為の一つの大きな目的ではないだろうか、こう言っても過言ではないと思います。

私どもの心は、ややもすると様々な状況や現象によって絶えず移り変わります。

法話1の冒頭で六祖慧能の「非風非幡」の話をしました。私たち人間は目の前の様々な現象に流され易いのです。

これは正に我々のいる世界が沙婆の世界だからです。

沙婆というのはサンスクリット語でサーハーといいます。  

サーハーとは我々が住むこの世のことを指します。このサーハーが今日の日本の沙婆といわれる言葉に成った訳です。