「やっぱり無理です」入社初日に退職届を出した“期待の新人”。上司も納得してしまった退職理由






「空前のペットブーム」と言われて久しいですが、ペット産業も年々売上が伸びています。今回は、ペットショップに就職が内定した期待の新人が、なんと入社初日に辞めてしまったエピソードを紹介します。
 関東を中心にペットショップを展開する会社の営業部長を務める中村さん(仮名・42歳)。犬猫はもちろん、少しマニアックなペットも販売している人気のショップです。

◆動物好きな、期待の新人

 中村部長が担当した採用試験の面接で、とても印象に残った高橋未唯さん(仮名・23歳)という学生がいました。彼女は、大学で畜産関係の学部に通う、動物のエキスパートです。

「高橋さんからは、熱意が伝わってきました。私も面接官を長年務めていますが、彼女ほど積極的に質問する学生を初めて見ました。たいていは、給与のことや福利厚生のことがほとんどなのですが、動物ファーストな質問が目立ちました」(中村さん、以下同)

 上層部の高橋さんに対する評価はとても高く、面接をトップでクリアし、内定通知が送付されました。
  
◆入社前からショップを熱心に視察

 ある時、中村部長は用事で訪れた都内の店舗で、高橋さんを目撃します。

「店長との打ち合わせが終わってから売り場へ出ると、高橋さんはまだ動物たちを興味深く観察していました。動物が本当に好きなんでしょうね。少し迷いましたが、久しぶりの再会だったので声を掛けました。高橋さんは一瞬不思議そうに私の顔を見ていましたが、すぐに面接官だったことに気づいたらしく、笑顔であいさつしてくれました」

 実は、この再会した店舗が高橋さんの配属予定先でした。当然そのことはまだ開示されていませんでしたが。

「高橋さんは店内を注視しながら、入社後のイメージトレーニングをしていたそうです。ノートとペンを持ちながら、いろいろ観察しているようでした。はたから見ていると、明らかに一般客とは雰囲気が違ったので、一応店長に高橋さんの素性は伝えておきました」

◆「質問攻めに合っている」と店長から相談が

 ある日、配属予定先の店長から中村部長宛に連絡が入ります。どうやら高橋さんのことについて相談があるとのことでした。

「報告というか相談といった内容で、どうやら高橋さんから質問攻めに合っていて、少し困っている様子でした。その質問というのが、動物たちの健康状態に関する内容で、少し元気のない子を見つけては、どのようなケアをしているのかなど、詳細に聞いてくるそうです」

 その報告を受け、中村部長は本部内で情報を共有しました。ある上層部からは「店舗には向かない人材じゃないのか?」などの意見も出たそうですが、面接の際に見た彼女の熱意を信じ、予定通り4月からは店舗配属ということになりました。

◆入社初日に、まさかの退職届を提出

 ところが、入社初日にまさかの出来事が起きます。

「店舗に出社するはずの高橋さんが、本部の私を訪ねてきました。彼女は深く頭を下げ、何も言わずに退職届を差し出しました。私はただ事ではないと感じ、彼女を連れて会議室に移動し話を聞くことにしました」

 高橋さんはゆっくりと退職理由を語り始めます。ただその表情は面接の時に見せた快活な表情ではなかったといいます。

「店舗にいたゴールデンレトリバーがずっと売れ残り、ある日を境に姿を消したそうです。その際、嬉しくて近くのスタッフに『よかったですね!飼い主さんと出会えて』と声がけした時、『業者に回したよ』と言われたそうなんです。この頃は、スタッフも高橋さんが内定者だと知っていたので、そのような内輪の回答をしたのだと思います。それが原因かもしれません」

◆「業者に回した」……ペット販売の闇

 ペットショップで売れ残った犬猫は、「引き取り屋」と呼ばれる業者にお金を払って引き渡されることがあるのです。引き取り屋は、劣悪な環境で犬猫を飼い、遺体を大量に遺棄して逮捕された事件も複数あります。

 そもそも、ペットの生態販売にこのような「闇」があることは、動物好きな高橋さんなら、薄々知っていたのでは? でも、自分の就職先でも現実に行われていると知って、ショックを受けたのかもしれません。

◆辞めた気持ちがよくわかる

 実は中村部長はもともと店舗出身です。動物好きでこの会社に就職したそうですが、経営陣からの評価が高く営業部長にまで上り詰めました。

「店舗を離れて久しいですが、僕は今でも動物は大好きで、自宅でも犬2匹と猫1匹を飼っています。今回の高橋さんの件、スタッフの前では言及しませんでしたが、とても共感しています。

私も新人の頃は『このワンちゃん、売れ残ったらどうするんだろう』と思ったものでした。営業部に転籍してからは『売上げ第一主義』だったので、いつの間にか私の中では『動物=商品』となっていました。だから、彼女の気持ちはとてもよく分かるんです」

 配属初日に出された退職届は、その後会社に受理され、高橋さんの退職は確定したそうです。願わくば、動物のためになるような仕事に就いて、力を発揮してほしいものです。

<文/ベルクちゃん>

(転載終わり)


コロナ禍でペットを飼う人が増えたが、

旅行に行けるようになるとペットを粗末にする人が出るのではと懸念されてましたね。

テレビ番組でも捨てられたペットの悲しそうな目

いつか人間に帰って来るのでは?

ペットを粗末にした人は

来世、人間に再生でなく、動物に転生して

悲しみを味わうかも知れません!?