里見涼は後悔していた。

息子の裕一に、自分の後を継いで欲しいという意思表示をするべきではなかった。倒れた直後で、かなり気弱になっていた。裕一にはバスケットが一番だ。現に、あれほど裕一がプレーする事を嫌っていた母親の晃代も、試合を見てから、応援しているようではないか。

裕一本人はどう思っているのだろう。レッスンは熱心に受けているようだが…。

「心配しなくていいわよ、涼さん。」

「晃代…。」

いつの間にか、晃代が側にいた。涼のためにコーヒーを入れ、運んできたのだ。

「裕一はどっちもおろそかにしないわ。あの子にはいくつも可能性がある。見守るのが私達のつとめだと思う。」

「そう思うか?」

「裕一は大丈夫、あなたの息子だもの。まあ、どっちを選ぶかは分からないけど。応援しましょう、これから楽しみよ!」

「私は見届けられるだろうか。」

「あなたには長生きしてもらわなくては!裕一のためにも、光希のためにも、そして、何より私のために、自分のために!」

「やれやれ、君は無茶を言うね。」

「言いますよ、いくらでも!」

部屋の外で二人の会話を聞いていた光希も、心から思った。

…がんばれ、裕一!

部屋の雰囲気を察し、静かにその場を去った光希は、ひとりベランダに出て、夜空を見上げた。

明日も晴れそうだわ…!