裕一の言葉に、5人ともしばらく顔を見合わせ、沈黙したが、父の涼がぽつりと言った。

「いいだろう、いつかは話した方がいいと思っていた。」

「お父さん!今はまだ…!」

止めようとする光希に、涼が優しく言った。

「いや、いいんだ。」

その声の美しさに、裕一は、自分の父親ながら感動を覚える。かなわないなぁ。里見涼を越えるのは容易じゃないや!

「裕一、ローレライ・オムの話を聞いた事はあるか?」

「あるよ。殺人ヴォイスの話だろ?結局存在しなかった。世界のミステリーのひとつさ。」

「それは、正確にはかなり違う。殺人どころか、究極の癒しだった。廃人同様の身体も健康体に戻すほどのな。」

「えっ?ホントはいたの?希代の美声で…えっ、ま、まさかぁ。」

「そのまさかだ。私がそうなんだ。裕一。」

「ええっ?」

「最初から話そう。」



(省略します。え~っと、詳しくは、前作、前々作をご覧ください。)



裕一は、信じられない面持ちで最後まで聞いた。涼の話が終わった後も、しばらく沈黙していた。

「ぼ、僕も狙われる?」

「それは誓ってない。それに、ドリューとベルツがいるんだ。誰も手出しできないさ。」

「僕も、クロムハーツ星でコンサートやんなきゃいけないの?毎年やってるんでしょ?」

「いや、そんな必要はない。ローレライ・オムは世襲でも何でもない。第一、私に息子がいる事は、向こうには公表していない。安心していい。」

「…。」

「どうだ?聞かない方がよかっただろう?」

「いや、なんていうか…僕もそうなの?ローレライなの?」

「違うね、ユウイチ。いくら涼さんの息子でも、ありえないよ。」

「ちょっと頭冷やしてくる。」

裕一は、今まで何も知らなかったのが、自分だけという事が腹立たしかった。光希さえ教えてくれなかった。しかし、知っていたら、レッスンを受けていただろうか?

シャワーの湯加減は、かなり熱い。裕一は思った。俺は、すべて知ってしまった。それでも、親父の跡を継ぐ度胸があるだろうか?自分でも分からない…。