心理学入門(5)分裂性記憶喪失と人格障害、反社会的人格障害と大量殺人、分裂障害と反社会的人格障害、精神病質と社会病質、治療の有効性と治療の歴史

 

(訳注)記憶喪失の心因性と脳障害の差を明らかにしている。明らかに脳障害による記憶喪失は長期継続的で回復は望みがたいが、心因性は短期に回復することが多いと言っている。次に人格障害の話をまとめている。人格は個性と裏腹にどんな人格が障害とされるのかは明確ではない。人格障害を区分してナルシズム人格障害や回避性人格障害や偏執性人格障害などに分けて説明している。人格は個性とも言われそもそも他者との関係で議論され様々な人格が存在するが、異常心理で扱う人格障害はナルシズム人格障害や偏執狂人格障害などその極端な例が多い。次に重要な人格障害は反社会的人格障害と呼ばれ殺人や犯罪に関係する人格障害が多い。殺人者はそれがたとえ大量殺人であっても精神障害と扱われるケースは少なくその理由は普通の人出も抱く怒りや嫉妬や妬みなどが極端に表現されたケースだからだ。ただ連続殺人になると分裂障害の推定が働くことが多い。そこにはさらに社会病質や精神病質など精神病と紙一重の障害が根差している可能性は高い。しかしこれらの精神病質は治療の可能性やそもそも治療する必要があるか否かが複雑な問題として浮かび上がる。James Bondは精神病質の典型で乱交癖があり冷血で他者との調和に欠けるが治療すべきものではない。結局精神病質とは治療の必要性と可能性の接点上の問題である。

 

 

 

何か分裂性人格障害で質問はあるか。(4503)(教授)質問は分裂性記憶喪失と前に話しをした逆行性記憶喪失や順行性記憶喪失との関係である。このほかの記憶喪失は脳の損傷の結果である。それらは傾向として永久に長期間続く深刻なものである。分裂性記憶喪失は明らかに特定の人生のイベントが原因となったもので短期間で終わることが多い。勿論それらはすべて脳に関係するがありのままに言って分裂性記憶喪失はKorsakoffシンドロームに関係した他の記憶喪失より心因性の出来事である。他には(教授)1960年に何が起きたかであるが、非常に有名なケースがあった。そのケースはSybilのケースとして知られている。助手たちはうなずいているが有名なケースでSybilで知られた映画になったり議論されたり大きな影響を人々に与えそれが現実だと信じられるようになった。

 

最後に4番目の障害のタイプは(4634)実際にはGrayの教科書では議論されていないが人格に関係するものでこれが面白いのは多分ある程度はこの教室にいる多くの人に関係するからである。思い出してみれば人格は世間と付き合ってゆく一つの方法で、特に他者と取引する方法だからである。(4701)人格障害という概念はある人格が精神病と言われるほど非常に悪くその一つの障害がナルシズム人格障害と呼ばれている。誰でも自分のことを話すのが好きだがその程度がものすごく、ある人はそれが行き過ぎて、彼らが話すことが極端でナルシスト人格障害とレッテルを貼られるものである。回避性人格障害と呼ばれるものがある。自立と演技性の境界にある障害である。境界線人格障害と言われたら人はただ単に恐ろしい人である。偏執狂人格障害は偏執狂統合失調と違って明らかにそこには統合失調症の症状はなく幻覚症状のようなものは何もない。(4803)ただ単に普通の人より極端に偏執狂である。

 

最も面白いと私が思う人格障害は暴力と犯罪に関係するもので特にそれらは「反社会的人格障害」と呼ばれるものである。ほとんどの殺人者は医学的意味では精神病ではない。彼らはいかに臨床家が分類したとしても精神病にはならない。ある程度は人を殺すほとんどの人は怒りや嫉妬や憎しみなどの普通の欲求に動機づけられた普通の人でありただ極端になっただけである。たとえ大量殺人であっても一般的には心理学的視点からは実質的に異なったものではない。あらゆる社会で、正直言ってこの件で大分昔だが講義を書いたが、最近の事件を見ると(4908)それらは私が言おうとしたことの完璧な例である。あらゆる社会には深い屈辱を受けた人という概念があり、通常は男性で彼は何度も何度も繰り返して屈辱を与えられた。彼は自分が何度も何度も立場を失ったがためにすべてを覆して一回の恐ろしい暴力で自分の顔を立て誰にでも復讐を果たそうと、たとえ彼自身が死んでもかって得たことのない社会的立場のレベルまで立てようとした。

 

アメリカの用語では古い言葉だがgoing postalと言って自棄になって、自暴自棄になることをいう。パプアニューギニアの石器時代の種族はこれに当たる言葉を持っている。彼らはこれを「running amok」と呼んで逆上して暴れまわるという言葉を持っている。(5002)つまりどんな社会でもあることである。普通の殺人者がいる、大量殺人者がいる、そこから面白いケースはDahmerやSon of SomやTed BundyやJohn Wayne GacyやHannibal Lecterのような連続殺人犯がいる。これら多くの連続殺人犯は明らかに何らかの精神病を持っているが精神病はどこにでもある。Jerome Brudosという男は女性の足に異常な執着心があり女性を殺して足を切断しその足を家の中で隠し持っていた。Son of Somは明らかに偏執狂統合失調症だった。彼は犬が彼に吠え付いただけで殺人を犯した。Jeffrey Dahmerは人食い殺人者で彼は殺した人を食った。私は臨床の友人に何が正確にいて悪いのかと聞いた。彼はすぐに答えて「彼は摂食障害だった」といった。これは冗談だ。(5108)

 

多くの殺人者は分裂性障害を持つと言われている。「あの男を殺したのは俺ではない、それは私の別のエゴのFredがしたことだ」。どれくらい彼らが真実を語るのかは明らかではないがこれが責任逃れの反応であるかどうかは明らかではない。精神病には暴力を繰り返す特定の人格障害のバージョンがある。これが「反社会的人格障害」と呼ばれるものである。かっては「モラル精神異常」と呼ばれていた。今はしばしばpsychopathy「精神病質」と呼ばれている。ある人は精神病質とSociopath社会病質とを区別している。その目的は(5202)私はこれらを混ぜて一つのカテゴリーにしようとしているからである。だから私はpsychopathと言っている。

 

この人たちは一般的に男性で利己的でわがままで冷血で衝動的で性的にふしだらな奴と定義できる。彼らは愛情や忠誠心や通常の友好感覚や思いやりに欠けているように見える。そこから簡単にうんざりし刺激を求めてあらゆるトラブルに突っ込んで行く。こう聞くとこのような人は必ずしもイメージ的に考えても魅力のない人ではなくたまたまある状況の下で遭遇しただけではないか。精神病質をこの男のように考える誘惑は避けなければならない。もっとも有名な精神病質はJames Bondで、彼はSean Conneryの演技からしてあらゆる面で完璧な精神病質で(5300)ある。これは病気なのか。これも一つの難しいケースである。精神病質は治療の対象にはならない。James Bondは決して治療専門家のところに言って「私は乱交癖と冒険生活の問題を抱える」とは言わなかった。なぜそれを解決して子供を持ち一人の女の男とならなければならないとは言わなかった。それは問題ではないからだ。他の人はしばしば問題になるがなぜそれが精神障害になるのか明確ではない。

 

そしてまた多くの精神病質は明らかに成功者である。これが複雑なのは心理学者が精神病質を研究するからで彼らが研究する精神病質はその定義が精神病質をうまく説明できないからである。ある人々の議論では真の精神病質の適切な定義は世界を駆け巡りあらゆる分野で秀でたもので精神病質のようには見えないものだからである。(5411)彼らは良心を持たない。哀れみや同情もなく愛や忠誠心もない。彼らは冷血で野心家であっても彼らをブタ箱にぶち込むには明らかなものはないからである。これは大変面白く複雑で微妙なケースである。最後のセクションは5分ほどこの問題に触れて来週の最終クラスでは治療について検討しよう。我々にとってこの問題を扱う上で面白いのは「果たして治療は有効かどうか」である。この問題には多くのことが言われている。治療の歴史は恐ろしいほどの失敗の連続だった。狂人になることは悪魔と手を結ぶことだと見られ。

 

精神病の人は虐待され殺され焼かれ海に放り出された。18世紀には変質者と考えられて社会から放擲された。19世紀になると簡易な哀れみからPinelというところでは精神病院が開設されそれ以来あらゆる医療が施されたが全くの失敗に終わった。お見せするビデオはそれを要約したものである。私が不思議に思うのは。次の講義では手短に現在ではどんな治療が有効であるかをお話して講義を終えたい。(5606)極めて短いコースなので最後に来幸せとは何かをお話したい。オプションとして課題書に加えて匿名でクラスに関してのコメントと評価を書いてほしい。関心がある人は最も関心を持ったものに関してEメールを私に送って欲しいが、あくまでオプションであり将来のコースに役立てたい。