舞台はパリ。路地裏の静かな通りにひっそりとルリユールおじさんの店はあります。「ルリユール」とは手作りの製本のこと。ソフィーが大切にしていた植物の図鑑がばらばらになってしまい、途方にくれていると、「ルリユールおじさんのところへ行けば直してくれるよ。」という言葉を聞き、やっと探したのがこのお店だったのです。

おじさんの手によって、ソフィーの目の前で植物図鑑はどんどん修復され、生まれ変わっていきます。その細かい工程が紹介されている絵を見ながら「こんな丁寧な作業があるのか……」と感動せずにはいられません。なにせ製本職人は60もの工程を覚えなければならないそう。やがて、世界で1つだけの美しい植物図鑑が出来上がっていくのと同時に、ソフィーとおじさんとの交流、おじさんとやはり製本職人だった父を思い出していく様子などがとても丁寧に描かれていきます。

最後に金箔の文字が入って完成した瞬間。読者にも、その幸せな気持ちが伝わってきます。今では、全工程をマスターしている職人さんというのは一桁の数しかいないのだそう。そんな「魔法の手」で作られている本というのは、やっぱり存在感が格別なのです。憧れますよね……。

秋も深まる季節にぴったりの、本を愛するちょっと大人の為の絵本です。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

 

【感想】

 パリの街並みと少女が溶け込むように、描かれている絵を見ているだけで、

少し寂しく、秋の深まりを感じさせるのはなぜだろうか?

 

 ルリユールおじさんのところについて、やっと現実に戻り始めた私は、職人のありのままの仕事場にホッとしました。

 

「魔法の手」職人の技が少なくなる昨今。

機械技術の開発・進歩により、同じように良いものが作られるようにはなりました。

「おもしろくないなぁ」と思うのは、私だけでしょうか?

「味がない」というか、「あたたかみ」なくなってきたことに、やっぱりさみしく思える。秋だからでしょうか?

 

 植物図鑑を大切にする少女の思いも、使い捨ての時代に一筋の光を見たように思えます。「物を大切に」することが、どれだけ素敵なことだろうか。

 いつまでも、やさしい心のままの少女でいてほしいです。

 

 何度も、何度も絵をたのしませていただきました。「ありがとう」