見事なまでの短期記憶障害の99歳女性。そして、よく喋ります。
住んでいる場所はもちろん、家族構成もこれまでどのような人生だったのか等、ほぼ職員は暗記するほどその方は身の上話をされます
こっちが話の先手を打ちたくなるほど覚えてますし、繰り返し私たちは聞いてます(笑)
緑内障もあり年々目が薄くなってきて不安な日もあるでしょうが、なんせ短期記憶障害なので「今日は暗いねぇ」と天気が悪かったり部屋の電気がついていないくらいの感覚なので私たちが思うほど辛くないのかもしれません。そうであってほしい。
そして、何より目が見えなくなっても頭の中でリアルな映像が見えているので淋しくないのかもしれませんね。(小さな子供がいつも側にいてご飯をあげたりおんぶしたりして子守忙しそうです)
前置き長かったですがそんな方との会話はいつも楽しくて、その日の会話はこんなものでした。
「私何歳?」
「99歳になりましたね」
「99?!」
「そうよ!あと1年で総理大臣から100歳おめでとうの大きい表彰状貰えるからこのまま100いこう!」
「そんな物が貰えるかね。あんたは若そうなね。何歳?」
「私は47です。Tさんもうこんな年に戻りたくないでしょ(笑)1番忙しかったし大変な頃でしたもんねぇ」
と言うと。。
「私は戻りたいよ。」
と。
「えー?!なんで?」
と聞くと
「あんたの顔を見て沢山話がしてみたい」
と言われたのです。
てっきり自分の子育てや姑の世話など大変ではあったあの頃だけど、やっぱりあの頃が一番いいよ!と言われるんだろうと思っていたらまさかの家族への思いではなく目の前にいる私との事を言ってくれたので私はグッと来てしまって声の震えをどうにか抑えながら
「なんて嬉しい事を言ってくれるの。感動しちゃった。私もTさんの話を毎日聞くのが楽しみよ。毎日必ず私たちを笑わせてくれるTさんが大好きよ」と伝えました。
この仕事、ホントに大変だし辛いこともあるんだけどこう言う一コマがあるとやる気スイッチ入りますよね。
認知症で不穏症状も勿論ある方なのですが、99年の人生は簡単なものではなく苦労のほうが多い方だったのでこのまま安楽に過ごして頂きたいと心から思います。
戦争経験者が少なくなっていく今、大正14年生まれの方々の話は貴重となってきています。
今日も1日頑張ってきます。