--前回までのあらすじ-
全くもって突然の宣告に愕然とした俺だが、以外にも「もう駄目なのか」と死を覚悟した途端になぜか冷静に「人間」の真髄を色々考え、そして理解していた。普段全くそんな哲学的なことを考えた事はなかったがこんな状況が真剣にそんな事を考えさせていた。しかし、なぜ24時間後に「死にます」と宣告されなければならないのだ!怒りを覚えた俺であった。理由は何なんだ!死ぬとわかっていても理由ぐらい知りたいものだ。怒りと共にいろいろ想像だけが駆け巡るのだった。


Season1-AM0:45-地球滅亡まで残り23時間15分 「消滅の理由」

中央線ホームにいる時だった。

俺は携帯でTVを見ていた。0:45過ぎだろうか。
各局の特別報道番組が一斉にまた首相官邸からのニュースに切り替わった。

AM0:47

皆様、地球が24時間後に消滅するというお知らせをしましたが、その詳細については発表する予定はありませんでしたが、予定を変更しその理由についてご説明させて頂きます。

「地球は消滅するわけではありません」

衝撃的な言葉だった。
じゃあ助かるのか?俺は淡い期待をして次の言葉を待った。

「正確には、地球が消滅というよりは、人類が消滅する」のです。

俺は全く意味がわからなかった。
テロリストによってしかけられた核か何かが爆発するのか!
それじゃまるで「24h-セカンドシーズン」じゃねえか!
じゃあ、細菌兵器でも使われるのが止められなかったのか!

想像だけが駆け巡る。

「皆さん。聞いて下さい」。首相が話し始めた。

「人類の科学は大幅に進歩しました。今や遺伝子の一つ一つが持つ情報も99%が解明されています。我々の技術を持ってすればコピー人間を作ることも、永久に死なない不老不死の人間を作り出すことも可能になりました。」

しかし、これまで残り1%の遺伝子について解明することが出来ませんでした。
それは人間の生命体そのものが解明されるのを拒むかのように、解明をしようとすると遺伝子そのものが消滅してしまうのです。
この1%の遺伝子の解明に我々は全力を尽くしてきました。

この最後の遺伝子の解明がもたらすもの。それが何なのか。
人類が大きく進化することが可能な秘密が隠されているのではないか。
様々な憶測で我々はこの1%の遺伝子の解明に全力を注いできたのですが、それが・・・

首相の言葉はここで詰まってしまった。

AM0:55

しばらくの沈黙の後、首相は続きを話しはじめました。

「実は昨日、この残り1%の遺伝子の持つ情報の解明に成功しました。」

この成功が我々の遺伝子学の進歩に繋がるどころか、我々を破滅させる情報だったことが判明しました。我々は神が創ったこの肉体の触れてはならない部分を見てしまったのです。

また不気味な沈黙が数分続いた。・・・・

AM1:00

この解明不能であった遺伝子の秘密を解明したことによって、解明後24時間後に皆さんの肉体の遺伝子が壊死(エシ)していくような情報が含まれていたのです。

まさに、神の業としか言いようがありません。

「まさか、この解明が人類全体の肉体の破壊に影響を及ぼすとは・・・」
研究者自身も予測できない事でした。

簡単に言ってしまえば、この決して解明してはいけない遺伝子を、解明した瞬間から24時間後、「人間」は全て死亡するということになります。
それは、今生まれたばかりの「赤ちゃん」であろうと、100年生きたご老人であろうと、「人」であるものは解明後24時間で全て、死亡します。
皆様に今更お詫びを申し上げても我々にはどうすることも出来ません。
現在も研究者が必死に人類が死亡しない為の対策を研究しておりますが、今のところ有効な手段は見つかっておりません。

AM1:07

そ・・・そんな・・
じゃあ、、俺たちは単なる巻き添えで死ぬってことかよ!
俺は猛烈な怒りを覚えた。
科学者どもの勝手な研究の結果で、死ななきゃならないなんて!

今起きている現実が本当に信じられなかった。

AM1:10

中央線ホームに、「高尾」行きの各駅列車が入線してきた。
ヤケになって飛び込み自殺を防止するためだろうか。入線してくる電車の速度は歩くほどの速度で入ってきた。


人類滅亡まであと、22時間50分。
TO BE CONTINUE