※7の付く日にこの小説を掲載しています。(17日は病気の為掲載出来なかったので今日掲載します。)
そして、今度はいつもの仕草のように見つめ合い、どちらからとも無くゆっくりと極めて自然に唇を重ねていったのであった。
前編
四・恋(その5)
バスは海岸沿いの道から山間の道へ入っていき、山頂付近に近づいていった。
日差しは相変わらず強く、燦々とした初夏の陽光を浴びて、樹々は喜びを表すように葉を精一杯に広げ、艶々とした光沢を放ってこの山全体を輝かせていた。
楽しい時間を作るより楽しい時間を続けなければならない。
今は正に楽しい時間が続いているのだ。
恋仲となった私達はお互いの過去の歴史や現在の環境、個人の生き方考え方といったものの存在を超越し、また、意識する事すら忘れ、今この瞬間この時を共有し合い、楽しみを分ち合い、お互いの息遣いが感じ取れるほど身近な存在となって、樹々のように喜びに満ち溢れた、二人だけにしか感じる事の出来ない幸福の時を味わっていた。
人が生きるうちに幾つかの出会いがあり、遅かれ早かれたとえ何等かの理由で別れの時があろうとも、そして私達がそれを明日迎えなければならないと解っていようとも、この時だけは、あたかもこの先も変わらず永遠に続く幸福の時のように思えていた。
今日だけのこの喜びに満ち溢れた時は、李華連も既に理解している筈であるが、バスの中で初めてキスを交わした時以来、ずっと嬉しそうにしている。
嬉しさを隠す事なく自然に溢れ出す喜びに従順な心を表している。
私は李華連のそのような表情を見ながら、心の中は決してそうでは無い事を確信していた。
彼女は泣いている。
表に溢れ出す喜びが多ければ多いほど、心の中に涙が溢れている。どうしようもない現実を理解すればするほど涙が溢れてくる。
涙の海で明日をも知れぬように漂いながら、手に掴む物も無くただ彷徨っている。
私はそんな李華連の心情が手に取るように解ってはいるが、動かし難い現実は私の心を針のようにチクチクと刺して、幸福の夢から
覚醒させようとしていた。
しかし、李華連の表情を見る程に彼女の心の中を察する程に、李華連がいじらしい、彼女が可愛いと尚更感じていたのであった。
知らず知らずの内に、バスは下り坂を走っていた。
李華連は僅かだけ窓を開けた。
窓ガラスに張り付いていた少し冷たさの残る風が、勢い良く内側に巻き込んで李華連の髪を揺らした。
途端に一本一本が命を与えられたようにふわふわと浮いては、落ち着く先を探すかのように沈みかけ、またふわふわと浮いて初夏の風になびいていた。
私はそっと手を伸ばし風になびく髪をまとめるようにして李華連の耳元で言った。
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