※7の付く日にこの小説を掲載しています。
私は、彼女の笑い顔からこぼれる、いつもの規則正しく並んだ白い歯を見ながら、そのように思っていた。
前編
三・烏龍茶(その1)
私達は、勝利広場の横にあるバス停から八〇一系統のバスに乗ることにした。
このバスはおよそ二時間程かけてここから星海広場、付家庄、北大橋、老虎灘を周り、
また勝利広場に戻ってくる大連の観光地を巡るバスだった。
老虎灘は、一般のバスで直接行けば二〇分ほどで着き、運賃も僅か一元で済むが、
李華連の提案でこのバスに乗って行く事にしたのだった。
「少し遠回りになるけど、ゆっくり海を眺めながら行きましょうよ。北大橋のところから見る海はとても綺麗よ。
あの辺は大きな別荘が多いのよ。」
李華連は嬉しそうに言った。
「どのくらい時間がかかるのかな。」
「そうねえ、一時間半くらいかしら。でもまだ時間はたっぷりあるでしょ。」
「それもそうだね。じゃあ、それで行こう。」
私が笑いながら言うと、「やったー。」と、いうふうに李華連は大袈裟なポーズで、
人目もはばからず私に抱きついてきた。
そして、言った。
「その前にマイカルで日本の冷たい烏龍茶を買いましょうよ。バスの中で飲めるでしょ。
それに日本の烏龍茶は美味しいわ。」
「えっ、わざわざ日本の烏龍茶じゃなくてもいいんじゃないのかな。だいいち烏龍茶は
中国が本場じゃないか。」
「中国はペットボトルに入った烏龍茶は無いのよ。みんな乾燥したお茶の葉だけなの。
緑茶は有るけど甘くして売っているのよ。変でしょ、日本人からみれば緑茶を甘くして売るなんて。」
「それも変だけど、本場の中国で日本の烏龍茶を売っているほうがもっと変だね。」
私が、少しからかうように言うと、
「あれは日本人が買っていくから売っているのよ。箱に入った烏龍茶も外国人それも殆ど
日本人が買って帰るわ。普段はみんな緑茶かジャスミン茶を飲むのよ。南の方くらいかな、烏龍茶を飲むのは。」と、中国人は誰も烏龍茶を飲まないとばかりに、私に逆襲してきた。
「それに、大切なお客さんにはジャスミンの花茶を出すのよ。飲むときに中で花が咲いたように広がって綺麗だし、とっても香りがいいの。とても高い高級茶なのよ。京ちゃん飲んだことある?」
李華連は通訳をしているとき、私に出されたお茶がそのようなお茶でなかった事を知ってか、少し意地悪になって聞いてきた。
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