何それ?知らないよって話になりそうですし、ぼく自身も答えは出せないんですが・・・
皆さん、オムファロス(ギリシア語でヘソ)仮説というのを聞いた事はお有りでしょうか?
これは、イギリスの自然学者のフィリップ・ヘンリー・ゴスという人が唱えた創造論の仮説です。
ぼくは、こういう事を考えるのがすっごく好きなんですが、こうした事を考えているとエホバの証人の・・・というより、キリスト教の、いや、宗教の抱える問題点が浮き彫りになってくるようで興味深いです。
オムファロス仮説という名前は『オムファロス:地質学の結びを解く試み』という本が1857年に発行されて付けられた名前だそうですが、
その当時、アダムにおヘソがあったかどうかという論争が巻き起こっていたそうです。
誰かから生まれたのではないアダムに、ヘソ、つまり、へその緒が繋がっていた痕跡があったらおかしいんじゃないか?という話です。
聖書の説明によれば、アダムは誰か母親から産まれたのではなく、神が地面の塵で形造ったとありますからね。
それからエホバ神は地面の塵で人を形造り,その鼻孔に命の息を吹き入れられた。
創世記2:7
オムファロス仮説では、神はアダムにへそを作ったとされています。
このオムファロス仮説のすごいところは聖書の創造の記述では説明がつけにくい部分を一気に埋めてくれるところに有りました。
聖書をそのまま読むと全てのものは神によって6日間で作られたとありますから。
アダムのへその問題もそうですが、六日間で造られたという記述と地球の至る所に見られる長い年月を感じさせる痕跡、例えば何層にも重なっている地層や太古の生物を知る事の出来る化石、長い年月をかけて出来た 川の流れによる陸地の侵食の跡など・・・観察できる様々なものと聖書が相反するもののように見える部分が有るからでした。
そこで、ゴスさんは聖書の記述と自然界を観察して見えてくるものとの矛盾を埋める事が出来る説を言い出しました。
それは・・・
「神は痕跡のようなものを初めから造られたのであ〜る!」
というような主張でした。
これは、聖書の記述通りに神による創造の業を支持するために打ち出した学説だったのですが・・・
なんと!一部の宗教界の人達からの非難を受けるようになったそうです。
「これじゃあ、神様が嘘つきの詐欺師みたいだ」って。
そりゃあそうですよね。
この学説だと神は本当はいなかった生き物がいたかのように化石を作って地面に埋めたり、そんな時代は無かったのに地面に重なる層を作って長い年月を感じさせたり、母親から産まれた訳ではないのにアダムにおへそを作ったって事になりますから。
そんな偽の痕跡を作っておいて、神の言葉 聖書を(文字通り)信じろって、どれだけ信仰に高いハードルを置いてるんだよって話になりますよね。
さてさて、神様はアダムにおへそを作ったのか?
おそらく誰もはっきりとは答えを出せないでしょうし、言い切ることも出来ないでしょう。
またもし作ったと主張するなら神様が嘘つきみたいになってしまいます。
聖書の記述は文字通りに読むべきだと主張したい人は大勢いるとは思うけど、それでもやっぱり無理がある部分も結構あると思う。
創造の6日間など、いま知られている科学や考古学上の発見とはかけ離れてしまった部分に関してのみ、「それは文字通りではありません」と説明する。
信仰者の説明はいつでも後手にまわる。
都合が悪くなってからやっと認めるってだけになって来た。
そのように説明しなきゃ信者は集まらないだろうし、世間からも馬鹿にされてしまうからってだけだ。
基本は聖書は文字通りに読むべきだと主張して、そうしない人を攻撃する・・・
聖書とは違っている様に思える事、自分に理解できない事を異端だって攻撃する。
信仰の無い人を見下し、信じない者は永遠の責め苦に遭うとかハルマゲドンで滅びるなどと脅す。
もちろんそうならない事を願って親切に警告しているフリをして。
しかし、いわゆる信仰者も
神様は嘘つきだと思わないなら、聖書からだけでなく、自然界を観察することから、つまり痕跡からも多くの事をもっと学ぶべきだと思います。
科学的な発見とそれに基づく推論がいつでも正しいという訳でもありませんが。
聖書の記述を絶対視するのではなく、造られたものを通して学べることも大切にしなきゃダメだと思う。
どちらも神様からの大切なプレゼントとみなしているのであれば・・・
聖書とは食い違っている様に思える主張であっても、まず、耳を傾けること、簡単に否定しないこと、そしてなるべく理解しようと努力すること。
攻撃的な態度を取るのではなく、こうした態度が大切なんじゃないかなと思います。
宗教者の不寛容・・・避けたいですね。