私をおいて儚くなったきみは

姉のわたしからみてもつくづくいい女だった
実の妹をこのように語ると多分…理解不能だろうけれど
きみほどの極上の女性は世界中の何処にもいない
少なくともわたしときみを愛していたひとたちにとっては
きみという存在ほど居心地のいい場所はないからね

 

天使の優しさ

聖母の母性

妖精のような悪戯っ子

心配症で面倒見がよく

そのくせ怒ると

マイナス100℃の眼差しで見下して心を凍らせる

反論不可能なマシンガンズトークで相手をまくし立て

相手を傷つける其の裏側で心から血を流していたのはきみ自身だった

天衣無縫のアドリブと

ミステリアスな予測不能な秘密主義

クールなようでその実は

心に炎を宿している

清楚な少女と艶やかな色を持つ成熟と未成熟

複雑怪奇で気難しい
控えめで人見知り

正義感が強く自分に厳しい
周りに愛されていたのに疑り深いきみは
他人を信用せず心を許していたのは限られたひとたちだった

なんでもこなせる器用な人なのに

他人に甘えることができなくて

誰にも頼らず茨の道を傷つきながら進んで進んで
わたしを矢面に立たすまいと守り抜いて

すべてを背負って壊れてしまった

其の声も其の微笑みも

透きとおるような肌も

華奢な長い指も

ぽってりとした唇も

猫のような瞳も

漆黒の流れる塗場束も

きみは極上の淑女でいい女

もしもわたしが男性に生まれていたら間違いなく恋をしただろう

「わたしが男性で彼氏ならいや?」そう聞くときみは

「あなたは純粋で可愛い人だから大切にするよ」と言ってくれた

「まきは俺のfemme fatale…
甘えるのが不器用な子で…例えばね、トラウマ級の怖い夢を見ても俺に言えずに震えてうずくまって泣いているような子なんだ。
だから抱きしめてあげないと…」ときみのことを知り尽くしていたおにいちゃんが語ってくれた

うん、そうだよね
よくわかるよ
わたしはそんなあなた達が心底、本当に大好きでふたりのような恋に憧れていた
ふたりは心のパパとママでもあって
わたしの真の理解者だった

ふたりに会えなくなった今も恋しくて恋しくて求めてやまない
おにいちゃん…あの子と一緒にいるのかな
恋人岬で誓ったふたり
おにいちゃんの口癖だった未来永劫…離れることなくどうか一緒にいてほしい
そして愛するふたりにわたしの傍にいてほしい

 

あなた達と話せなくなったことが最大の不幸だから

 

妹君(いもうとぎみ)の人生は波乱万丈で一冊の本になるかな…って本人も笑ってた


わたしがもっとね

文章にたけていたらきみの人生を書籍にしてみたかった

 

同じ血族であり清らかで誇り高い魂の唯一無二の愛しい我が半身よ

わたしにとってもきみは永遠のfemme fataleだったのだと

今さらながら気が付いたよ