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パコと魔法の絵本
2008年
監督:中島哲也
主演:役所広司
        アヤカ・ウィルソン


ポップ。キュート。笑い。時々、涙。
大人のための童話。


公開当初は全く興味がなかったのだが、友人に進められ、3年前に初めて観た作品。

【嫌われ松子の一生】【下妻物語】の中島哲也監督の独特のセンスは本作でも輝いている。

病院を舞台に、オカマ(國村隼)・精神をやられた元売れっ子子役(妻夫木聡)・パンクな看護婦(土屋アンナ)など、実に個性的な面々で繰り広げらる。


気難しいワガママジジイ・大貫は(役所広司)は仕事をしてお金を稼ぎまくる自分に、何よりも誇りを持っていて、他の事や他人などどうでも良くなってしまった大企業の社長。
常に暴言、怪我した猫を虐待するわ、花壇をめちゃめちゃに荒らすわ、非常に傲慢で、病院内の嫌われ者である。

ある日、ワガママジジイは記憶が一日しかもたない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会う。

パコは毎日絵本を読む。同じ絵本を何度も。新しいストーリーを読むように。


2人の出会いは奇跡を起こす。


大貫の口癖は、お前が私を知っているというだけで腹が立つ。だった。

そんな大貫が、初めて、名前を覚えてもらいたいと思った事。パコの心にいたいと思った事。
そんな小さな出来事が彼の人生を変えた。


私は、イジワルジジイ大貫と一緒にワンワン泣いてしまった。

誰かに何かをしてあげたい気持ちは、自分をも癒すんだ。


大貫に芽生えた気持ちは、大貫の中に始めからあったもの。


人間はみんな弱い。
弱くていい。誰かが必要だ。
泣いてもいい。
大人になっても。



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The Spitfire Grill
1998年
監督:リー・デヴィッド・ズロトフ
主演:アリソン・エリオット


囚役を終えた少女パーシーが、新たな人生の出発地に選んだのは、過疎化しつつある小さな村。

年老いたハナが営むスピットファイヤ・グリルという飲食店で下宿をし手伝いをする事になる。

村人達は急にやってきた彼女が気になりつつも、遠巻きに観察するのだが、誠実な彼女に徐々に心が開かれてゆく。


しかし彼女には秘密があった。



〈以下、ネタバレを含む〉


邦題の『この森で、天使はバスを降りた』は、何だかしっくり来ないのだが、主演のパーシー役のアリソン・エリオットの美しさは天使そのものだと思った。


タバコをふかし、行儀もあまりよくない。悪態だってつく。それなのに、ピュアな魅力を醸し出す、パーシーのキャラクターはとても好感的だった。

ストーリーも彼女を中心に、心に傷を負った人々が希望を取り戻していき、彼女自身も笑顔を取り戻していく様は、ほのぼのと心が温まる。



終盤で、さびれた教会で彼女が告白した秘密はあまりにも悲惨で、美しく悲しい彼女の心の再生を願わずにはいられない。


だがしかし。

そんな思いはラストで裏切られた。


彼女は村人の疑心暗鬼から、不慮の事故で死んでしまうのだ。


私は思わず、えーーー!と叫んだ。


救いも何もありゃしないよー。。


当の疑心暗鬼にとり憑かれ、彼女を迫害しようとした村人は、彼女の葬式での懺悔だけで、もう何もなかったかのようにいい人になり、済まされてしまう。(ラストの様子を見る限り、奥さんに愛想をつかされ離婚されているようだが、それだけだ。)


最後の最後には、過疎化していた村も、活気にがあふれ、とても幸せそうに暮らしていて、いかにもハッピーエンドという円満な終わり方だった。


しかし彼女の命という犠牲のうえで成り立っている。これは、バットエンドだ。


途中までとても良い流れだったので、なんとも後味が悪かった。


彼女の死をきっかけに色んな登場人物の心が動いた事は確かだろうが、誰かの犠牲があっての幸せなんて、なんだかとても寂しいじゃない。




批判してしまったが、

森に住む謎の人物がパーシーの部屋の窓際にこっそり置いた枝で作られた小鳥を見つけた時のパーシーの撮り方が透明感と幸福に溢れている感じが美しかった。


きっとラストが違えば、パーシーが生きていたならば、大好きな映画になっただろう。

私は多分、思ってるより、すごく彼女を好きになってしまっていた。


そんなパーシーに出会えた事はとても幸せな事だ。


それだけに…やっぱりラストが納得いかないよ~


消化不良で、なんとも複雑な気分になりました。
落ちてる時はみないようにしよう。

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南極料理人
2009年
監督:沖田修一
主演:堺雅人


久しぶりに大好きな邦画に出会った。


南極、昭和基地より1000キロ離れた富士山よりも高い山の上にある、ドームふじ基地を舞台に、8人の男達が約1年間生活する。


何やらこの設定は、ともすればシリアスに、色々とスリリングな問題が起きそうなものだが、本作は平々凡々と、8人の男達が南極での日常を過ごしていくだけ。


こう表現すると、とてもシュールで退屈な映画のようだけど(いや、シュールではあるのだけれど)男子校の合宿をこっそり覗き見ているような、なんともワクワクさせられる映画なのだ。


男って、アホだなー。でもでも、すごく羨ましいなー!


生物も、細菌すら生きられない極寒の地で、あたりにはもちろん何もない中、『食』という娯楽は彼らの生活の彩りとなる。

西村くん(堺雅人)が作る様々な料理のシーンは、見入ってしまう。
すごく、、誰かの握ったおにぎりが食べたくなる。



みんなの食べる姿も、各自個性的でなんともいえない。




私がようやっと南極での暮らしの厳しさを感じたのは、兄やん(高良健吾)がある事で悲しみのあまり、家を飛び出すシーン。


家を飛び出した所で、あたりはいちめん真っ白。どこにも行けるわけがない。


日本のように、繁華街に飲みに行って酒を飲んだくれたり、公園で星を眺めたり、ただ呆然と街中を歩く事も出来ない。


これは、かなりキツイなーと思った。
泣きながら「あーあ、、渋谷とか行きてぇ、、」と言う兄やんに激しく同情してしまった。


でも、やはり謎なハイテンションの自由な男達に始終笑わされる。


小道具やさりげない小さな台詞までが凝っていて、くすりと笑わせてくれる。
この笑いは愛だ。


合宿から大家族へ。
そして、日常へと戻ってゆく。


爆笑ともいかないけれど、じわじわくる笑い。
心のこもった美味しそうな食べ物。
かわいく愛しい、男という生き物。
愛しい、日常。


何も考えなくていい。ただ、彼らと一緒に南極生活を送りたくて、これからも何度も私は繰り返しこの映画を見てしまうだろう。