おこんにちは
おさむさんの小説
くじけずにがんばりましょう
明日発売です。
鈴木氏は20年以上にわたり、「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の放送作家を担当してきたが、物語は震災から10日後の“伝説の生放送”と、被災地から中継された「27時間テレビ」の舞台裏を想起させる。
以下
小説から抜粋
「来週の月曜日にイイジマサンが生放送をやりたいって言ってます。今晩、みんなで会えますか?」 生放送? こんな状況で? 信じられなかった。
3月21日 生放送当日。 昼過ぎに、リーダーが、タクヤが、ゴロウチャンが、ツヨシが、シンゴがお台場のテレビ局にやってきた。 3月11日以降、みんなと会ったのは初めてだった。 いつものように軽く笑顔で挨拶をすることはない。みんなそれぞれが覚悟を持ってやってきたことが分かった。 まずは会議室にメンバーとスタッフ全員が集まり、今日の構成を話す。 全員一言ずつ話してから、一曲歌い、曲が終わったあとは、街頭でインタビューした映像と募集したファックスを読みながら話していくと。 そして最後に2曲歌う。 番組は、歌以外のコーナーは彼らのトークに頼る部分が多い構成だった。VTRをもっと延ばすことも出来たが、それよりも彼らが今の思いを話すことが大事だ。彼らのリスクは増えるが、そこを信じないといけなかった。
どんな一流の芸人さんでもタレントさんでも、この生放送を行うことはリスクとの隣り合わせ。だけど、イイジマサンはやると決めた。彼ら5人もまた、やると決めたのだ。
生放送が始まる前に、タクヤが僕に言った。「オサムは何を信じてる?」
大震災という未曾有の災禍がエンタメ業界に与えた甚大なダメージ。目を背けたくなるような日本の現状を前に、5人のグループ、スタッフが真剣に向き合い、被災地の人たちとともに再び立ち上がるまでの回復の物語だ。