森に棲まう鬼は神、なんですよね。
そういえば私、以前に「シネマ歌舞伎『阿弖流為』では、いちばん重要なシーンがカットされている!」とTwitterでつぶやいて、そのままにしてた気がするんですけど、
アラハバキは(後にアテルイも)“自殺”してるんですよ。
自害はできないので(神だから)、誰かに自分に刃を向けさせて、闘いの途中でふっと無抵抗になる。
夜長姫も、そう。
「殺して!私を!」と願っている。
一国の姫として何不自由なく暮らしている身で、まさか姫がそんなことを考えているとは誰も思いもしなくて、
エナコだけが気づいてしまった、
無邪気な笑顔が、
美しく伸びやかな声が、
溌剌と動き回る全身が、
穏やかな眠りすらが、
コロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテと訴え続けていることに。
何故?
人間が、存在するだけで、神を穢してしまうから。
神にとっては、穢れを祓いたいだけで、生まれ変わることはそんなに大したことじゃないんだけど、
生き延びることに必死なエナコにはそれがわからなかった、
わからないけど、姫をずっとずっと見ていたら、
“えいえんのいのち”というものがあるような気がしてきて、
自分もそれを手に入れることができるかも知れないと思って、
それで子供を産んでみて、これはいよいよ自分にもやれるような気がして、
エナコは“生き延びるために”自害したんだと思います。
芝のぶさんの解釈とは、ぜんぜん違いますね‥‥。