NPO法人富士山ナショナル・トラストのブログ -32ページ目

NPO法人富士山ナショナル・トラストのブログ

富士山ナショナル・トラストは、静岡県御殿場市を拠点に森林の復元を図り富士山火山荒原の崩落防止や世界遺産登録に向けての美観保持のための植樹活動を続けています!

植樹活動への批判と、批判への対応

富士山に植樹をすることに対して、すべての人が賛成したわけではない。

私どもに先駆けて、

ライオンズクラブの人達がバッコヤナギの植樹活動を行っておられた。

私は、新たに植樹活動を始めるに当たって、

反対している人達の意見を聞いてみようと、

反対する人達の自然観察会へ参加したことがある。

そこで得た情報だけではないが、反対意見を要約すると次の二点となった。

第一は、「崩落は、自然の営為、富士山の自壊作用なのだから、

人間がなにをやっても対抗できるわけがない。

「無駄な努力はよせ」という声である。

この声にたいしては、

「これから予想される被害のことを考えると何もしないでいるよりも、

結果的には、無駄になるかも知れないが、努力をしてみる価値はある」と考えた。

少なくとも、富士山の現状と危険性を訴えることはできる。

もう一つの意見は、

「あの地帯は、植物遷移を観察できる貴重な地域なのだから、

人間の手を入れるべきではない」また、

「植樹することによって、

本来、富士山に自生していない植物を持ち込むことになり、

生態系を乱すことになる」というものであった。

また、材木を並べ、そこにバッコヤナギを植樹している様子を評して、

「園芸的手法」との批判もあった。

植物遷移を観察できる貴重な地域と言うのは、

我々が、植樹を考えている場所よりも標高の高い地域であり、

場所にズレがあったので良しとして、問題は、

富士山に自生していない植物を持ち込むなという声に対して

どうするかということが気になった。

ポットの苗木を植樹すると、

そのポットに富士山に自生していない植物が生育しており、

結果的に自生していない植物を富士山に持ち込むことになると言うものである。

富士山の気象条件は厳しいのだから、麓の植物は生きていけないから、

気にすることは無い、という意見もあったが、

もう一つの、園芸的手法と言う批判はともかくとして、

この点については、クリアーしておきたかった。

そこで、私たちが取った手法は、

「苗木の土を落とし、水に浸したピートモスで根を包み植樹する」という方法である。

ピートモスとは、水苔が何千年にもわたって推積し、地中で炭化したもので、

繊維分が多く、軽く、有機質を多く含んでいる。

大変に保水性が高く、土壌改良剤として活用されているものである。

この方法は、ポット苗を植樹するよりも作業効率をグンと高めた。

まず、私たちは、畑に直接挿し木をし、苗木を育てている。

ポット苗にするためには畑からポットへ移植しなければならない。

その作業が省略される。

また、畑の土を持ち出さないので、畑が守れる。

次に、苗木の根を包み、運ぶわけである。

ポット苗を運ぶよりも車のスペースの面でも、

現地で、人力で運ぶ場合も本数を多く楽に運ぶことが出来た。

また、水遣りの必要が無くなった。

ポット苗だと植えた後、水遣りをしなければならないが、

ピートモスが十分に水分を含んでいるので、水遣りをしなくても活着したのである。

これで、現地までの水運びの手間が省けた。まさに、怪我の巧妙である。

また、私たちは、材木を運んだり、

材木を手に入れる能力がないのでその方法は取っていないが、

材木を並べ、そこに植樹をするという方法に対する園芸的手法という批判は

当たらないと考える。

これは後日学習したことであるが、

砂漠の緑化の方法の一つに、マルチストーンという方法が行われている。

植樹をした木の根元に石を置くというものである。

石を置くことによって、地中の水分を保持するというのである。

私は、これと同じ効果が期待できるのではないかと考える。

材木を並べることによって、土地の流動を押さえ、水分保持に役立ち、

そして、暴虐不尽に走り回るオフロード車の進入防止にも役立っていると考える。

特定非営利活動法人富士山ナショナル・トラスト