天国の父に言いたい


いやそうじゃない


\40年前の父/   に言いたい。


「日本はこんな \アニメ大国/ になったんだよ」



ジブリの作品が

舞台化されて


海外で


大喝采を浴びる、なんて


40年前には

想像もつかなかった。


「アニメなんて!」と

いつも父は言っていた。


アニメは世界中で愛される《日本の文化》になったんだよ、


父よ。




スライム ヒヨコ スライム



私が

ここで

姉のことを書いていると知ったら

姉はきっと激昂するだろう


まぁ、それでもいい


私は姉と縁を切った。

血は繋がっているけれど

もう知らん。


ここで

言いたいことを全部言わせてもらおう


悪口ではない


きっと本当はこうだったんだ


あの時あのようにすれば良かった


良くないと思ったら

それを繰り返さないように

前を向いて歩こう、と思うから。



姉は

昔からアニメが大好きだった


彼女が中学生だった頃だ


当時住んでいた地域の最寄り駅には

アニメを描くための道具を売るお店があったので

彼女はお小遣いを貯めたお金で色々買い集めた。


アニメ(漫画)用の特別なペン。スクリーン・トーン(効果的な背景を作るためのフィルム。紙に擦り付けて使う)。特別な塗料。漫画を描くのに適した紙。セル。セル画。

アニメ雑誌。


彼女はメキメキと画力を高めていった。

絵の才能があったのだ。


アニメーターになれる。




鉛筆 カラーパレット 鉛筆



姉は

器用だった。

ピアノも難なくこなし、絵も上手だった。


音楽と美術に関して姉は学校で目立っていた為、私は校内で比べられた。

あの○○さんの妹さんでしょ?と。


悔しかったけれど

姉は実際にそうだから、仕方がない。

芸術面で何をやらせても上手なんだから。


私は《別のジャンル》で頑張ろう

難なくこなせて、それが普通に称賛される人に

真っ向から立ち向かったって

敵うわけがない。


そう思った私は

姉とジャンルが被らないところで前を向いていた。




しかし


父は

アニメに夢中になる

姉を認めたくない様子だった。


自分の思うよう、姉をコントロールしようとした。


何かと反発しがち(今思うと、それは姉の反抗期だった)な姉に


ある日、激昂した父は


姉がお小遣いを貯めてこつこつ集めたアニメ雑誌や漫画(特別版の立派なやつ)を

父は残酷に

庭にバラバラと放り投げた。



泣きながら

それを拾い集めていた時の姉の顔

私は忘れていない。


あの時が

姉の \自己肯定感/ が壊れた最初の瞬間だったんだろうと


今は思う。





ヒヨコ ヒヨコ ヒヨコ




あれから

数十年。


支配的だった父は死んだ。




姉は今でも故障中だ。











今、私は育児中だ。

(理由あって遅めのスタートだ。)





今まで素直に言うことを聞いていた子が

ある日、反抗的な色を浮かべた眼で私を見つめる


反抗期が始まっている。


こんな

顔をするなんて。


こんな

言葉を吐くなんて。


これをやりなさい、と言うと

《嫌だ》という顔で私を見つめる


ここで

ぎゅう、と胸が締め付けられる


ここで

支配してはならない

ここで

コントロールしてはならない


暴れる鳥

自由に飛んで行きたいと思っている鳥

籠を出て外に行きたいと願っている鳥


ずっと

大切に掌の中で優しく包んでおきたいけれど


そっと

掌を緩めて

鳥を解放しないとならない


羽ばたきを邪魔する権利は

私にはないのだ



今まで目の前で見聞きしてきた

家族の歴史



繰り返してはならないんだ、と

育児中の私は思う。



※ちなみに言うが
自分は安全圏にいて、勝ち組なんだ、などと決して思っていない。
勝ってもいないけど、負けてもいない。

勝ち負けで二等分する考え《勝ち組、負け組》という言い方は間違っていると、激しく思うし、みんな常に何かに悩んでいてそれが当たり前なんだと思う。