ある日の私


下町のとある公園にいた。


足元をふと見ると


煉瓦のかけら。

それもあちらこちらに。



ちょっと考えて

気付いた。


これはきっと

瓦礫だ。


自分が産まれるずっとずっと前に

その場所で戦争や火災があって


その後


埋め立てた時に土に混ざり込んだ煉瓦の瓦礫だ。


どこかの建物の一部だ。


そう思った。


その上に立っている現代の自分。


誰かの歴史の上に立っている自分。



🌲🌲🌲


同じく下町で


古くなって取り壊された家。


更地になった土地を見る。


そこには


割れた陶器のかけら。


白地に青い絵が描かれている。


またそこで

はっとする。


誰かが使っていた茶碗のかけら。


過去の誰かがその場所で

お茶を飲んだり

白いご飯をよそったりして

使っていた器だったのだろう。


誰かの生活があったんだ。


いつの日か割れてしまって


その人もいなくなり


かけらは土に埋もれて


その後に


そこに家が建てられ


そのまま数十年経ち


家が古くなって壊され


土がむき出しになり


茶碗のかけらが

土の中から現れた。


そうか


そうだったのか。




ちょっと


震えた。