引っ越して大分慣れてきた
家賃が安くなったから、そのぶん生活費の足しに出来るかと思ったが生活はギリギリだった。
保険外交員は動くのが仕事なのでガソリン節約の為に夏でもエアコンは付けずに契約者まわりをした。
そのうちお腹が目立ってくる。
他人の方が気を使いハルカに優しくした。
でも、定期検診すら行けず、不安な妊娠生活を続けた。
そんな中、タカの四番目の妹が母親と喧嘩になり家出してきたのでハルカは面倒を見る事になった。
幸い、部屋は有り難いことに一つ余っていたので、その部屋を妹に貸した。
高校生になっていた妹にハルカは弁当を持たせ仕事に行く前に駅に送り、帰りは迎えに行き世話をした。
タカの母親からは感謝の言葉もなく、タカもハルカに対して何も言わなかった。
世話するのが嫌な訳ではない。でも、何か一言かけてあげるのが優しさだ。
ハルカは不満を溜め込んだ。
そんな生活は二ヶ月位続け妹は実家に帰って行った。
もうすぐお盆だった。
保険会社は保険月という募集強化月間がありハルカは結果次第で給料のプラスの為に頑張って成績を上げた。
その頃、タカの仕事は暇な時期を迎えていた。夫婦で自営をしていたのだが、そこの奥さんが田舎特有の個性の強いおばちゃんで悪口大好きな人だったからタカは次第にイライラしていた。
そしてまた
やっぱり俺に向いてるのは大工だ。今の仕事は物足りない。
などとふざけた事を言い出した。
そしてカズキを連れてまた建設中の現場に行った。
正直、カズキの顔を見たら可愛かった。自分の孫。随分大きくなっている。
タカのやり方は卑怯だと思った。
孫を連れて来るなら追い返す訳にはいかない。
ハルカが二人目を妊娠したことを告げ大工がしたいと謝った。
ハルカの両親は嫌だった。
しかし、カズキと離れるのは嫌だしハルカの妊娠が心配で、またしても大工に雇ってもらえた。
ハルカはその月、今までで最高の給料をもらった。
それでやっと検診に行った。医者は仕事を辞めた方がいいと伝えたが出産費用の貯金も出来ていない。辞めることは出来なかった。
大工に戻って安心したのかタカはスロットばかり行った。
自分が楽しければいいんだなとハルカはやっと気付いた。
遅いけど。
何とか予定日の一ヶ月前まで来た。
タカのスロットで結局貯金は出来なかった。