旅立ち


旅立ち

小さなレストランの傍らの席に掛けて

appetizerをつつく君

時はさりげなく

きびすを返して走り去る

うごめく時代の中で 

君と共に旅に出る

明日の最終定期便で

地球から飛び立とう

小さなスナックで傍らに腰を下ろし

alcoholを含む君

時はさりげなく

希望をめがけて走り行く

渦巻く時代を離れ 

君と共に旅に出る

朝の一番臨時便で

地球から飛び立とう



恋物語1


恋物語


野に咲く可憐な花

囁きを風に乗せて

かけがえのない想いを語りかける

勇気を振り絞って賭けた恋

見果てぬ夢を求めて想いを寄せ

この花びらを一枚一枚広げて占った

許されるだけの時間を費やして

見たことのない異空間に身を置きながら

恋の喜びを分かち合う

後々まで秘められた恋物語

最果てで幸せにひたろう

かつてないこころのときめきを抱くために


野に咲く可憐な花

さやけき月夜の晩に

かけがえのない想いを語りかける

結城の紬振って駆けた恋

見果てぬ夢を求めて想いを寄せ

この花びらを一枚一枚落として占った

許されるだけの時間を費やして

見たことのない異次元に身を置きながら

恋の喜びを分かち合う

後々まで秘められた恋物語

ささやかで幸せなひととき

かつてないこころのときめきを胸に抱き


富士山


謹賀新年

新しい歳が明けました。

昨年は激動の一年で、このブログも疎遠になりがちでした。

でも、時間って自分でひねり出すのですよね。

今年は一念発起でこのブログに接していきたいと思います。

皆様にとって、健康で更なる飛躍の歳となりますよう、お祈り致します。

2007年元旦

takesi181



タケシの冒険 18



谷間に鴬の鳴き声がこだましている。タケシたちが遭難してから五度目の春を迎えようとしていた。

ある日の朝刊は、どの全国紙も「植村氏奇跡の生還」とか「不死身の植村復活」という見出しで一面を大きく飾っていた。それもそうである。二十年以上も前に遭難したかの大冒険家植村直己が突然帰還したものだから超特大ニュースである。大きく写しだされた写真では植村に寄り添う夫人の喜びの涙が印象的であった。テレビ各社とも世紀を越えた奇跡とばかりに連日特別報道番組を組んだ。遭難後の長い失踪はミステリーに満ちていた。

一方、探検家植村生還の特報であまり目立たなかったが、遭難したT大学山岳部の二人の学生が生還したことが、地方紙で報じられていた。無論、この二つの事件が深く結びついていることに気づく者は誰もいなかった。タケシの無事を信じてやまなかった久美子の愛情がタケシを暖かく迎え入れたことは言うまでもない。タケシの両親もそれは手放しの喜びようであった。太宰府天満宮の梅のつぼみがほころびかけていた、幾分暖かい気持ちの良い朝であった。タケシも久美子もお互いの愛を確認し、新たな希望に満ちた旅立ちを始めようとしていた。

しかし、UKG5324A星とUKG5324B星の和解にタケシを駆り出すために、一月後にはUKG5324星人の魔の手が忍び寄ることを全く知る由もない二人であった。タケシの冒険はまだまだ続くようである。 (完)


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タケシの冒険 17



「待ちたまえ、UKG5324星人!」

ジムだった。

「私は宇宙連盟から派遣された特別監視捜査員Xだ。君らには不穏な動きがあるため、それを調査するために私が派遣された。確固たる証拠を手に入れるために、私は今まで自分の身分を隠してきた。これまでの君たちの一連の行動を映像として記録し、それらは既に本部に送った。今、またここに君らの仲間の死体を新しい証拠物件として入手することが出来た。これは、UKG5324星を宇宙連盟司法会議に告訴するに重要な物件となるであろう。これ以上の悪行は君らの立場を悪くするばかりだ。UKG5324星に帰り、宇宙連盟からの連絡を待つように申し渡す!」

ジムの力強い声が凍りついていた空気を溶かした。しばらくの沈黙の後、その宇宙船はたちどころに姿を消してしまった。後に残された植村、木崎、そしてタダシは茫然と床に残されたナンシーの遺体を見やっていたが、しばらくするとみるみるその形は変わり、見たこともない生物の身体に変わってしまった。タケシはもう一度ナンシーの名前を呼んだ。

「ナンシーッ!」

その雄叫びは研究室の天井高く轟いた。


タケシは変わり果てたナンシーの亡骸の前にひざまずき、鳴咽を繰り返した。タケシの男泣きの声を遠くに、こうもりの植村が静かに口を開いた。

「しかし、ナンシーの仲間が言っていたことが本当なら、憐れみとか同情とかの感情のない生物のはずのナンシーがどうしてタケシ君の言葉に反応したのだろう」

「僕もそのことを考えていたのです」

木崎も首をかしげながら応えた。

「私が思うに...」           

白熊のジムいや宇宙連盟から派遣されたというミスターXが話に割り込んだ。

「彼らは墓穴を掘ったのだと思う。ナンシーがこの半年若い二人に対して、時々女としての役割を果たしていたことを私は知っている。二人と床を共にすることで、いち早く情報を取得する機会を窺っていたのだろう。しかし、君らの体液に含まれていたDNAが、高度に発達した文明のなかで暮らすうちに防御機構の退化したナンシーの脳組織に入り込み、感情を支配する彼らの遺伝子とうまく結合することになり、ナンシーに地球人のもつ感情が植えつけられたのではないかな。彼らは地球人に性格を変えるDNAを投与しようとしていたのに、逆にそのDNAによってナンシーの性格を変えられてしまったのだ、きっと。皮肉なことだ」

「多分、そういう事でしょう」

いつのまにか、タケシが眼を赤く腫らしながら立ち上がっていた。しかし、その眼差しには何か力強いものが感じられた。

「ナンシーの死を無駄にしないためにも、ミスターXや植村さんに投与されたDNAを突き止め、それと二本鎖を形成してその作用を消去するアンチセンスのDNAを投与したりして、必ず元の体に戻しますよ。ちょっと時間がかかるかも知れませんが、そこまでやり遂げることが私たちに課せられた使命だと思っています。マッキンリーに囚われの人たちもいますし..

「そうだな。もう一息頑張るか」

木崎がそれに同意した。ミスターXと植村は笑みを浮かべながら顔を見合わせ、それから頼もしげに二人の姿に敬意の視線を投げかけた。


DNA1



タケシの冒険 16


突然研究室の上方から現われた飛行船は鮮やかなそして眩しい光を放ちながら、徐々に降下し始めた。

「ナンシー、君は一体何者なのだ」

我に帰ったタケシは厳しい口調でナンシーに問いただした。

ナンシーは平然と答えた。

「私達ははるか宇宙の彼方からやってきたUKG5324星人なの。私は地球への移住の計画を任された準備室の特殊工作隊員として派遣されてきたのよ」

「とすると、君はいわゆるスパイだったのか」

「地球ではそう言うわね」

タケシのいきがる様をよそに、ナンシーはタケシには目もくれず、宇宙船の動きを見守っている。その宇宙船は至近距離まで降りてきて、仰角六十度の位置で静止した。

TAYO、宇宙船に帰還されたし。この実験室は封鎖し、彼らを抹殺する」

宇宙船からのアナウンスにナンシーは了解と告げると、静かに宇宙船の真下に向かって歩き出した。

「ナンシー、君と過ごしたこの半年は何だったのだ。君らは自分達だけ良ければそれで良いのか」

「タケシ君、TAYOいやナンシーに何を言っても無駄だ。生憎我々は憐れみとか同情とかいう感情は持ち合わせていないんでね。さ、TAYO急ぐんだ」

宇宙船から非情な命令が流れ、ナンシーは再び歩きだした。

「ナンシーッ!」

タケシは渾身の力を振り絞って叫んだ。ナンシーの足が止った。

「君はこの半年の間の我々の努力を見てきた筈だ。君らが自分らの星のことを大事に思うと同じように、我々もこの地球のために汗を流してきたんだ!朝も昼も夜も!」

「無駄だと言っているだろ!」

「ナンシーッ!」

タケシは仁王立ちになり、鋭い眼差しでナンシーを見据えた。

TAYO、早く帰還されたし」

突然ナンシーが膝まずき、肩を震わせて泣き出した。

TAYOは帰還できません。私がたった今得た情報を渡せば、地球はおしまいだわ」

TAYO、何を言っているのだ」

「私には、地球人を犠牲にしてまでUKG5324星に尽くそうなんてそんなことは出来ません」

「君はすっかり地球人に感化されてしまったようだな。仕方あるまい」

そう言うが早いか、突然レーザー光線らしき光がナンシーを一撃し、そのままナンシーは動かなくなってしまった。その光線の次の犠牲者は自分かと一同息を呑み、もはやこれまでかと凍りついてしまった。


DNA



タケシの冒険 15



タケシの説明が始まった。

「遺伝子のスイッチがオンになるためには、転写因子と呼ばれる複数のタンパク質が遺伝子の上流のプロモーターと呼ばれる所に集まってきて、そこからRNAポリメラーゼという酵素がDNAのメッセージをコピーしてRNAを合成していくのですが、そのメカニズムはまだ完全に解明されていないのです。最近では、タンパク質だけでなくマイクロRNAと呼ばれる短いRNAがその転写の過程に大きな役割を演じていることが段々判ってきました。様々な配列のRNAがマイクロRNAとして知られていますが、それとてDNAのある部分のコピーであることを考えると、何が遺伝子発現の最初のきっかけであるのか、考え始めたら謎は深まるばかりです。

それで、この色々な感情を支配する遺伝子の塩基配列を見ていたら、Tはチミン、Cはシトシン、Gはグアニン、Aはアデニンを表わすのですが、この塩基配列がそのまま音楽になるのです。Cはド、Gはソ、Aはラに置き換えられます。Tは休符にとればどうでしょう」

植村とジムが身を乗り出してきた。タケシは興奮気味に話を続ける。

「例えば、悲しみの感情はCAGCTCAGACTAGAGTCAGAGTCAGAGTCAGCTCAGC云々ですから、こうなるんです。いいですか、ドラソド ドラソラド ラソラソ ドラソラソ ドラソラソ ドラソド ドラソド..

喜びはこうです。GGGCTGGGCTCCCGAGATCGGGCTGGCCC..ですから、ソソソド ソソソド ドドドソラソラ ドソソソド ソソドドド となるんです」 

タケシは植村とジムに歌って聞かせた。 

「これを聞かせながらDNAを導入したら目的の遺伝子の界隈がほどけてくれるのではないかという考えにたどりついたのです。神経を通じて伝わったメッセージが特定の遺伝子発現を可能にするのではという仮説です。ほら、良い音楽を聞かせて育てると牛のミルクがよく出るとか美味しい肉になるとかという話を聞いたことがあるでしょう。確証はありませんが、検証してみる価値は十分あると思います。早速、人間に近い猿を使って実験してみようと思います」

その時だった。背後から、木崎の声がした。

「ナンシー、君は一体何をしているのだ。どこに何を連絡しようしているのだ」

振り返るとナンシーが手に特殊な小型機械を手にしていて、こう叫んだ。

「タケシさん、ありがとう。私たちは猿以上の人間という実験材料をもっているの。早速試してみるわ。命令に絶対服従の性格に変える遺伝子を組み込むことができさえすればいいんですもの。もうすぐ、UKG5324星の仲間が私を迎えに来るわ」  

 そういうが早いか、天井がはるかに高い研究室自体が地震のようにぐらぐらと揺れたかと思ったら頭上の岩が崩れ落ち、そこから見たこともない回転する小さな飛行船が現われた。一同急速な事態の変化についていけず、ただ茫然としていた。

 なんと、スパイはナンシーだったのだ。


愛のために1

愛のために3



愛のために

無意識に蝋燭の火を消したのは 

何時の日だったろう

叶わぬ夢と知りながら

ずしりと心に刻んだ愛と 

えにしの契りを交わしたい

結ばれる日のために

蝋燭の火をともそう

何時の日までもあなたとともに

胸の奥で蝋燭の火が揺れている

慈しみあって

かけがえのない愛のために

ずっと心ときめかせよう

永遠の契りを交わしつつ

無限の思いのままに

蝋燭の火をみつめる

何時の日までもあなたとともに


久しぶりの投稿です。

このブログにアップした詩に音楽をつけた作品を紹介します。

(楽譜はクリックすると、大きくなります。)

歌ってみて、何かを感じてください。


あなたのメロディー1


あなたのメロディー


(夢)

詩を書きました 恋の歌です
なにかメロディーつけたくて
瞼閉じると あなたささやく
このわたしなら こんな曲

眼を開けるとそのメロディー消えて
あなたも 姿かくしてしまった


また仕方なく 口笛吹いて
消えたあなたを 曲に埋める

(現)
詩を書きたくて また恋します
何度メロディー変えても
瞼閉じると あなたの曲が
このわたしから 抜けない

眼を開けてもそのメロディー聞こえ
あなたの姿 求めて彷徨う

また仕方なく 口笛吹いて
消えたあなたを 五線に浮かべる