金融緩和無効論の根拠にアメリカを利用するデフレ派 | 明日へのミチシルベ

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経済とか映画とか書いてます。メモとしても使ってる。

 安倍首相の決意と黒田・岩田日銀による政策レジームの転換(脱デフレの為の金融緩和)によって日本経済は回復に動き出している。ところが、「金融緩和無効論」を主張することを生業としているデフレ派はその根拠にアメリカ経済を利用している。奴らは「インフレになってもアメリカ経済は不況のままだ」と言いたいようだ。


 だけど、アメリカ経済は回復に向かっている。それはFRB議長のベン・バーナンキが頑張っているおかげだ。まず、アメリカ経済は2%程度のインフレだが、失業率は金融危機前に比べて高い水準にある。そして、アメリカはほっておけば(金融緩和をやらなければ)、デフレになってしまう可能性がある。つまり、インフレになっているとはいえ、デフレ圧力は存在するわけ。


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 このグラフはアメリカと日本の失業率の推移を描いたものだ。日本は1994年からデフレに突入している(GDPデフレーター)。その時からずっとデフレになるまえの失業率(2%程度)から乖離している状態が続いてる。一方、アメリカは金融危機後の2009年から失業率が9%台に一気にジャンプした。


 さあ、アメリカと日本の違いはデフレになっているかなっていないかだ。アメリカは一時期デフレの危機に陥りかけていたが、大恐慌や日本の不況を教訓にしていたFRBが金融緩和をやったおかげでなんとかデフレを回避することに成功した。日本は緩やかなデフレが続いており、失業率も2%からはずっと離れた状況が続いている(とはいえ、日銀が量的緩和政策を実施ている期間は低下していた)。


 アメリカは2%程度のインフレであり、失業率も少しずつではあるが、低下している。2013年の3月の失業率は7.6%だ。FRBは失業率を下げるために量的緩和政策第3弾(QE3)を実施し、失業率ターゲット(6.5%)も導入した。それ以前にFRBはQE1、QE2を行ったが、これらはデフレを回避するためのものであった。


 FRBはインフレ率を2%にすることを維持しながら失業率の改善を推し進めようとしている。もしもFRBが何もしなければアメリカは間違いなく、デフレに陥っているだろう。アメリカでは「インフレでありがながら、失業率が高止まりしている」というよりも「FRBがデフレを防ぎながら失業率を改善しようとしている」と言った方が正確だろう。


 デフレ派は「アメリカはインフレだが、不況のままだ!」と発狂しているが、アメリカは景気回復への道を歩んでいるんだ。金融緩和はデフレを解決できるし、緩やかなインフレは雇用と生産を回復するんだ。リフレは正しいんだ。


補足

 ポール・クルーグマンは雇用の回復のために財政出動を主張している。そのせいかデフレ派と親戚関係の可能性がある財政至上主義者はよく、「デフレ脱却のために財政出動をー」とか言って、クルーグマンを利用しているから注意が必要だ。


イント

 リフレーション、大恐慌、アーヴィング・フィッシャー、債務デフレ、バーナンキ、インフレ・ターゲット


 インフレであってもFRBが金融緩和をやらなければ、アメリカはデフレになる。デフレ圧力は未だに残っている。