家族みんなが元気ないつもの朝。
出勤20分前に目覚ましをセットしている夫は、目覚ましが鳴ったら1分もたたずにバスルームへ直行し、支度を始める。目が覚めてから夫がベッドを出るまでのその1分、私と愛犬パギーはどちらが先に彼の胸の中に飛び込めるか競争する。今朝は熟睡していたパギーが出遅れ、私の勝ち。悔しそうなパギーに頭を踏みつけられながら、おはようのハグをした(頭にわんこを乗っけながらのハグも私たちの日常)。
夫を送り出し、朝食を食べてご満悦のパギーを二度寝させ、私のひとり時間が始まった。ふとリビングのデジタル時計に目がいく。
AM 6:○○
(あ…。)
(久しぶりだね。)
その3つの数字は、6月生まれの、ある大切な人の誕生日を表していた。こうしてふとその数字が目に入ってくる時、私はその人のことを想う。
私が彼との連絡を絶って久しくなるが、彼はまだ時々SNS上でメッセージをくれる。私はそれをブロックするでも、削除するでもなく、ただ未読のままそっとメールボックスに保管している。最後にメッセージが届いたのは、2月25日だった。ウクライナ侵攻の翌日だ。思うところがあってメッセージをくれたに違いない。それでも私は未読を貫いた。
時計を見てからしばらくして、私は昨夜日本で起きた地震のことを知った。今まさに日本に帰国しようという友人からの知らせだった。不安がる彼女のため、私は彼女からのメッセージが届くSNSを携帯に開いたままにしておいた…。
何がどうしてそうなったのかはわからない。
二度寝していたパギーが起き出してきて抱っこをせがんだので、携帯片手にパギーを抱き上げ、あやしていた。そして次に携帯画面を見た時、そこにあったのは友人との会話ではなく、あの彼の、6月生まれの彼の、メッセージだった。
開いてしまったメッセージボックス。
未読メッセージは多くなかった。読まれず溜まっていくだけのメッセージのほとんどを、彼自身が消していたのだ。残った数件のメッセージは、短くシンプルだった。そこに目を落とすだけで読み取れてしまうほどに。
彼が消さずに残しておいたメッセージ。一番伝えたかったこと。私がいつ読んだとしても、その意味は変わらない言葉。
人生は不思議だらけ。
精一杯混乱しながらも、まるで動く歩道に乗っているかのようにどこかへ進んでいく。私が今、ここにこうしていることが、これから先何が起こるかわからないという一番の証拠だ。
読んでいただき、ありがとうございます。
地震で怖い思いをされた方々に、心の平穏と日常が早く戻りますように。
ではまた、次回。
23rdmonth
私たちは偶然同じリュックを持っていた。お揃いだとわかってからは、二人ともどこへ行くにもそのバッグを持って行った。写真上は東京の彼。写真下はハノイの私。こうしていつも、私たちは隣の席、または向かいの席をお互いのために確保していた。そしてバッグの写真を送り合い、その思い出を二人のものとして塗り替えた。
