トスティの『夢』
15才の私が歌った曲
受験を経て
4月に入学した女子校
桜吹雪の中
真新しい制服
綺麗な人がいっぱい
体育館で歌う雅やかな校歌
その5月に行われた
合唱、オーケストラ部合同の
定期演奏会
母校の校章が格調高く印刷された
立派なプログラム
地域の文化会館の大ホール
大舞台でした
独唱
顧問の先生から、
この曲を練習してみてと
声をかけていただき、
思いもかけない
初ソロ
歌は大好きでした
いくらでも歌っていられる
合唱の響きのなかに溶け込んで
自分だけの響きを加える
音の渦の中で
自分の音をひろげてゆく
やがて包み込んでゆく
全てのパートの音が溶け合った
全体の響きの渦に
自分の音の輝きを加えてゆく
独唱と
重唱
そして合唱
最後にオーケストラをバックに
大音量のヘンデルの『メサイア』
会場は熱気と興奮のピークに
無限に歌っていられたあの頃
⇩杉浦 葉奈さんのソプラノ歌唱による
トスティ『夢』
わたしは夢を見た
あなたが跪いている
まるで神に祈る聖者のように
あなたはわたしの瞳の底まで見つめ
あなたの愛の眼差しは輝いていた
あなたはわたしに語りかけた
その静かな声は
穏やかにわたしに情けをかけてと
求めていた
ただ約束された眼差しだけを求めて
わたしの足元に跪いていた
わたしは黙っていた
強い魂は誘惑の欲望と戦っていた
苦難と死を感じていたが
なんとか打ち勝って
あなたにだめだと言っていた
けれどあなたのくちびるが
わたしの顔に触れたとき
心の力はわたしを裏切ったのだ
目を閉じて
わたしはあなたに手を差し出した
だがわたしは夢を見ていたのだ
そしてこの美しい夢は消えた
ふんわり夢のような曲
音符がどんどん展開してゆく
ほわ~んと夢みたいな曲で
あなたにぴったりよ
と少し笑われながら
ピアノのお教室をしていた
母に言われたっけ
音符の下にイタリア語のカタカナをふって
必死に丸暗記
もちろん歌詞の意味など
わかっていなかった
恋の歌
今でもまだわかっていないのかな(笑)

