前回記事の続きです。
京阪電車宇治線宇治駅を出て、駅前の宇治大橋を渡った向こうの堤防で今回最初の
撮り鉄です。テーマで察しはつくかと思いますが、
京阪電車ではなく
JR西日本
奈良線の
撮り鉄です。
京阪電車の宇治駅は、駅舎が
JR西日本
奈良線をくぐる構造になっています。もっとも
京阪電車の宇治駅と
JR西日本
奈良線の宇治駅はちょっと離れた位置にありますので、乗り換えには適していないと思われます(乗り換えには黄檗駅の方が近いです)。
では最初の一枚
JR西日本
103系クハ103-186の奈良行き普通
JR東日本では仙石線を最後に2010年までに全廃された
103系ですが、
JR西日本では数を減らしつつあるものの今なお現役です。とは言うものの、近年の積極的な新型車導入により、必ずしも安泰という訳ではないようです。今回の1日目はそんな
JR西日本の
103系を撮ろうと行動していました。で、最初に訪れたのが
奈良線宇治駅~黄檗駅間に架かる宇治川橋梁付近というワケです。
JR西日本
奈良線は、関西線木津駅と東海道線京都駅を結ぶ路線で、“奈良線”とは言うものの全区間京都府に属しています。これは、奈良鉄道として奈良駅発着で開業しつつ、奈良鉄道国有化後に奈良駅~木津駅間が関西線に編入されたという経緯によるものです。また、稲荷駅~京都駅間は、東海道線の旧線を転用(膳所駅~京都駅間が現行ルートに切り替えられたのは1921年)した区間です。また、桃山駅~京都駅間は、東海道線旧線に移設されるまで、現在の
近鉄電車京都線のルートを通っていました。そんな歴史のある奈良線ですが、長年京都~奈良間の移動ルートとしては
近鉄電車京都線にお株を奪われ、ローカル線の域を出ない路線でしたが、1984年の電化開業と近年の快速運転や複線化推進によってローカル線からの脱却を図りつつあります。電化開業当初は
103系の
営団地下鉄千代田線直通仕様車を改造した105系が2両編成で走る路線でしたが、現在は
103系と
221系の4両編成が走る路線になっています。
上画像のクハ103-186は1971年度(1972年1月)に導入された車両で、非冷房のままながらも1970年度に山手線に導入された試作冷房車同様の窓構造(組立済みの窓周囲を車体外側からビス止めするユニット窓)や
営団地下鉄千代田線・東西線直通仕様車から採用されたシールドビーム2灯の前照灯(従来は白熱灯1灯)などを採用し、中途半端に近代化?されています。1次改良型とも言われるこの仕様は、1972年度後期(1973年)以降中間電動車の一部を除き冷房車となったため、レアな仕様になっています。後年の冷房改造によって1972・1973年度導入の冷房車と一見区別できない姿(国鉄時代の冷房改造車のみ)になっています。
JR西日本
103系の特徴として、各種延命工事とは別件で前面窓のHゴムにステンレス製カバー取付や側面戸袋窓撤去が実施されましたが、これは腐食対策として実施されたものです。
東海道・山陽線普通用として導入され、その後
大阪環状線を経て2006年から
関西線・奈良線用として運用されています。
JR西日本
103系クハ103-226の奈良行き普通
先ほどの場所より線路寄りに移動して撮影
こちらは1972年度(1973年3月)に当初より冷房車として導入された車両です。1973年度後期からの先頭車は、山手線・
京浜東北線のATC化に対応したものとなり、高運転台化により前面窓が高くなるのですが、ATC化の予定がない関西地区では、しばらく首都圏から転用された初期型などのATC非対応の先頭車と新造の中間車という編成が導入されることになります。当初は
山手線用として導入されましたが、前述のATC対応の先頭車に追い出される形で1年も経たないうちに関西にやってきて
東海道・山陽線普通用として運用の後、
関西線に転用され、現在も
関西線・奈良線で運用されています。国鉄時代はこのような広域転用が多々ありましたが、民営化後は会社をまたいでの転用が少なくなりましたね。全くないわけではないのですが。
1枚目のクハ103-186と同期の車両です。経年44年に達しますが、定期検査出場直後のようで車体も床下もきれいですね。奈良線の103系は先頭車と中間車の延命工事の内容が異なる編成が多いようで、この編成のように先頭車は側窓が原形のままの延命工事、中間車は窓枠を黒サッシの下段固定・上段下降タイプに交換した延命工事ばかりでした。
1971年度(1972年2月)に東海道・山陽線普通用として導入され、その後
関西線に転用、現在も
関西線・奈良線で運用されています。このタイプの先頭車は33両導入されましたが、
常磐線に導入された1両を除いて全て関西配置でした。
JR西日本
221系クモハ221-43の奈良行き普通
221系は1988年度(1989年運用開始)から導入されている片側3扉・転換クロスシートを採用した近郊型電車です。当初は
東海道・山陽線(琵琶湖線・JR京都・神戸線)の新快速と
関西線(大和路線)大和路快速に導入されましたが、
東海道・山陽線新快速としては
223系の導入によって早々とその立場を奪われ(笑)、快速や他線区への転用によって
113系の代替を促進しています。大きな窓と片側3扉・転換クロスシートという仕様は、斬新な車体形状とともに国鉄のイメージを持たない私鉄的なイメージですが、これは近畿車輛の提案によるものと言われています。導入から既に四半世紀を過ぎていて、普通鋼製の車体や内装などに経年劣化も見られるようになったことから、近年は体質改善工事という更新修繕の対象となっていて、この編成はその実施済み編成となっています。
103系のような外観きの大幅な変化はないものの、運転士側前面窓上部への行先表示新設(施工前はJRマーク)や運転士側前面窓下端切上、スカート形状の変更、乗務員室側開戸形状変更などが目につきます。
この編成は1990年に東海道・山陽線(琵琶湖線・JR京都・神戸線)新快速用として導入されましたが、現在は
関西線・奈良線で運用されています。
JR西日本
103系クハ103-212の城陽行き普通
1971年度(1972年3月)導入のいわゆる一次改良型のラストナンバーです。定期検査から数年経過しているためか、JRマークが薄くなっています。東海道・山陽線普通用として導入されましたが、その後
片町線(学研都市線)を経て
関西線に転用、現在も
関西線・奈良線で運用されています。
JR西日本
221系クモハ221-36の奈良行き区間快速
2枚上のクモハ221-43同様、体質改善工事実施編成です。こちらもやはり1990年に東海道・山陽線新快速用として導入されましたが、現在は
関西線・奈良線で運用されています。
JR西日本
103系クハ103-168の城陽行き普通
1969年度(1970年1月)導入の車両です。非冷房・ユニット窓でない側窓・白熱灯1灯の前照灯を採用していたタイプとしては最終期の導入です。当初は東海道・山陽線の普通用として導入され、その後
大阪環状線を経て現在は
関西線・奈良線用として運用されています。
このあと、つぎの場所に向かうべくJR西日本宇治駅から奈良線に乗車。
JR西日本
103系クハ103-174の奈良行き普通
1969年導入の車両です。大阪環状線で長らく運用され、現在は
関西線・奈良線で運用されています。
先発の快速ではなくあえてこの編成に奈良駅まで乗車し、103系の乗り心地を堪能しました。
奈良駅で1枚
JR西日本
103系クハ103-175の京都行き普通
上のクハ103-174の相方となる車両で、1969年に大阪環状線に導入されてから常に同じ経歴をたどっているようです。
この後は関西線(大和路線)で移動します(次回以降に続きます)。