広島電鉄は、広島市内の市内電車と広電西広島駅から広電宮島口駅間を結ぶ宮島線、および広島市内と周辺地域でバス事業を展開している事業者で、地元では“広電”として親しまれています。現存する路面電車としては、路線延長(宮島線を除く)・車両数ともわが国最大の規模を誇っています。かつて、労働組合的な交流で訪問させていただいたことがあるのですが、それから18年ぶりの広電です。もっとも広島の街自体はその後職場のOBご一行様とともに純粋な観光旅行で来ていますので、6年ぶりということになります。
では早速、撮影順に・・・
800形802の⑤号線広島駅行き
800形は1982年から導入された700形に続いて1983年から導入された市内線用車です。最初に導入された2両は700形と前照灯・尾灯の配置が異なる他は外観に差異のない車両となっていますが、ツリカケ駆動・抵抗制御の700形に対し、軽快電車として試作された宮島線直通用3500形で採用されたカルダン駆動・電機子チョッパー制御を採用していることで形式が分けられました。802は1983年に導入された最初期車ですが、最終導入の814は1997年導入と、実に14年にわたって導入されたことから、導入時期によって車体形状が何度か変更されています。表示幕が広島港行きになっていますが、終点の広島駅の手前の電停である猿猴橋町を発車後に表示を変えてしまったようです。
猿猴橋町電停ですれ違う1000形1003の①号線広島港行き㊧と3800形3803Aの②号線広島駅行き㊨
撮影しているのは広島駅ですが、猿猴橋町電停までの距離が短いため、望遠レンズならこのような撮り方も。
3800形3803Aの②号線広島駅行き
3800形は宮島線直通車として1987年から1989年にかけて3車体連接9編成の27両が導入されました。広島電鉄で初めてVVVF制御を採用しています。1987年導入の編成と、1988・1989年に導入された編成では前照灯の形状が異なります。画像の3803編成は日本赤十字社のラッピング編成となっていて、献血車のようなカラーリングになっています。
広島駅で何枚か撮影した後に、とりあえず宮島かな?と、②号線の広電宮島口行きに乗車します。車内にて車掌から電車一日乗車券(大人600円、小児300円)を購入します。広島電鉄では、路面電車ながらも宮島線直通用の車両では車掌が乗務していて、後よりの車体から下車する乗客からの運賃収受を担当しています。
終点の広電宮島口駅に隣接してJR西日本山陽線の宮島口駅がありますが、宮島航路乗り場へは広電のが近いです。
で、そんな広電宮島口駅周辺で軽く撮り鉄
広電宮島口駅構内の側線で休む3800形3808B㊧と出庫に向けて待機する3900形3905B㊨
奥の方でわかりにくいですが3808Bの前照灯と尾灯が同じ3800形である上の3803Aと異なり角型になっているのがお分かりいただけるかと思います。
3900形は3800形の改良型として1990年から1996年にかけて3車体連接8編成導入された宮島線直通用の車両です。3800形同様、VVVF制御を採用していますが、主電動機の出力が大きくなっています。また、車体形状もマイナーチェンジが図られています。3800形と3900形が導入されていた頃は、本来、鉄道線(軌道法に基づく路面電車ではない)である宮島線に在籍していた鉄道線車両(市内線直通不可)の一掃を進めていた時期で、1991年に鉄道線車両を全廃するまでに3800形と3900形で11編成(鉄道線車両全廃後導入の3900形を除く)が導入されています。画像㊨の3905Bは1992年に導入された編成です。
この留置線の後の方には、競艇開催日のみ停車する競艇場前駅があります。
広電宮島口駅に進入する5100形5101Bの②号線広電宮島口行き
5100形は1999年から導入された5000形“GREEN MOVER”に続く全低床形の宮島線直通対応車で、2004年から2008年にかけて5車体10編成が導入されています。5000形はドイツのシーメンス社製であったのに対し、5100形では純国産となりました。5000形がスクエアなイメージなのに対し、5100形では車体断面こそ角型であるものの前面形状は卵のようなイメージです。宮島線直通仕様ではあるものの、この5101編成のみ宮島線内の荒手車庫所属である他は広島電鉄本社隣接の千田車庫所属となっていて、実際には市内線運用がメインとなっているため、宮島線ではあまり見かけません。
5車体ですが、編成全長は3950形までの2ステップ型の3車体連接車と同程度で、両先頭車体(A車・B車)から2車体目(C車・D車)には台 車がありません。5000形の改良型という位置づけからか愛称も“GREEN MOVER”に続くような“Green mover max”となっています。2005年にグッドデザイン賞を受賞しています。
広電宮島口駅でならんだ3900形3906Aの②号線広島駅行き㊧と5100形5101Aの②号線広島駅行き(まだ行先表示変更前)㊨
全低床型の5100形の方が車体が高くなっているのは、本来床下に装備すべき機器を床下に設置できないため屋上に搭載していて、それらを隠すようにカバーがかかっているからです。ホームの手前、スロープ状になっている部分がホームより高くなっているのは、鉄道線車両用だったホームを切り下げたからのようです。
この後、宮島観光ではなく(宮島には18年前に行っています)、次の撮り鉄ポイントへ移動します(次回以降に続きます)。