あべの橋のバス停は、近鉄百貨店・近鉄南大阪線大阪阿部野橋駅のJR西日本天王寺駅側の道路上にありますので、ここからJR西日本大阪環状線、大和路線(関西本線)、阪和線および大阪地下鉄御堂筋線、谷町線利用の際にもアクセスがよかったりします。また、バス停から交差点を左折したところには阪堺電車上町線の天王寺駅前駅があります。
なぜ至近距離のJR西日本の天王寺駅と近鉄の大阪阿部野橋駅で駅名が違うのか?との疑問もありますが、JR西日本の天王寺駅は天王寺区、近鉄の大阪阿部野橋駅は阿倍野区(部と倍の違いはありますが)にあるという理由があるらしいです。両駅は道路を挟んだ対面に位置していますが、この道路が区界らしいです。ちなみに近鉄の本社最寄の大阪上本町駅(大阪線・難波線)は天王寺区になります。
で、本来はJR西日本大阪環状線に1駅乗って新今宮駅から南海電車に乗り換え、今宮戎駅で撮り鉄とも考えていたのですが、それはあまりにもベタなので、天王寺駅前駅から阪堺電車に乗ることにしました。阪堺電車は、前回大阪に来たときにも東粉浜駅から恵美須町駅まで乗車していますが、あの時は撮影していませんでしたので、今回は撮影を考えて乗り込みます。
で、やってきたのは“昭和”の雰囲気を色濃く残す1963年製の351形モ354でした。白熱灯の前照灯や南海電車のズームカーみたいな一段下降窓などに同年代の南海電車に近い雰囲気が漂いますが、それもそのはず、阪堺電車は1980年まで南海電車の大阪軌道線だったのです。採算性のよくない事業所などを分社化するというのは鉄道あるいはバス事業者でも見られることですが、南海電車でも大阪軌道線の採算性がよくないということで、阪堺電気軌道を設立し、分社化しました。それが現在の阪堺電車です。
“昭和”な雰囲気と書きましたが、改造ながらも冷房装備で車内も化粧板や座席、床は張り替えられています。
発車時刻になり扉を閉めて発車となるのですが、都電荒川線のように閉扉と連動してゴングが鳴るということはなくいまや貴重となりつつある釣掛モーターを唸らせ発車します。路面電車がちんちん電車と呼ばれるのは、車掌が運転士に発車よしの合図として車内天井のゴングを“チンチン♪”鳴らしていたことからきているのですが、ワンマン運転が当たり前となった現代の路面電車では、都電のように機械的に鳴らすケースもありますが、阪堺電車ではそのようにはなっていないようです。但し、乗客が降車合図ボタンを押すと“チン♪”とベルが鳴るので、かろうじて“ちんちん電車”の面目を保っていると言えましょうか(笑)。ちなみにタイトルにある“チン電”とは、阪堺電車の通称の一つです。
しばらく併用軌道すなわち道路上を走り、道路から外れて専用軌道に入ったと思ったら再び併用軌道へ・・・
どこで撮るかは具体的に決めていませんでしたが、あべのハルカスが入る併用軌道がいいかなと考えつつ、帝塚山四丁目駅で下車します。で、撮り鉄開始
では撮影順に・・・
601形モ603の我孫子道行き
601形は廃車となった旧型車から制御機器やブレーキ装置を流用して1996年から1998年にかけて導入された電車です。このため、機器流用ながらも台 車や主電動機は新造品となっています。現在7両在籍しています。
701形モ704の浜寺駅前行き
701形は阪堺電気軌道設立後初の新造車として1987年から1995年にかけて11両導入されました。
冷房装備の車体はもちろんのこと、走行機器、運転台機器など完全な新造車として登場しました。
親会社の南海電車が東急車輛びいき(笑)なので、この電車と上の601形は東急車輛で製造されました。
現在、阪堺電車の主力となる電車です。
501形モ504の住吉公園行き
501形は南海時代の1957年に5両導入された電車で、当時国鉄阪和線鳳駅に隣接していた帝国車輌(1968年に東急車輛に吸収合併され、東急車輛大阪工場となる)で製造されました。
全金属製の車体、カルダン駆動、空気ばね台 車など、当時の最新技術を取り入れた高性能車です。
前面は大阪市電の3000形や2200形、2600形によく似ていますが、側面は南海本線11009系(通称・ヒゲ新)などとお揃いの一段下降窓を採用し、南海らしさを醸し出しています。
すでに経年55年を超えていますが、冷房を搭載しいまなお全車健在です。
351形モ352の浜寺駅前行き
351形は501形と同様の車体ながらも、廃車となった木造車から主電動機を流用した釣掛駆動の電車で、1962年と1963年に5両導入されました。製造は501形同様、帝国車輌です。
釣掛駆動がらも台 車は空気ばね式を採用しています。こちらも501形同様、改造で冷房を搭載し、いまなお全車健在です。
1001形“堺トラム”1002Bの浜寺駅前行き
堺市と国の補助により2013年から導入されている超低床型3車体連接構造の電車です。
阪堺電車初のVVVF制御・超低床構造を採用しました。製造は阪急阪神東宝グループのアルナ車両で、現在2編成が活躍しています。1編成目はゴールドとグリーンの塗り分けで“茶ちゃ”、2編成目(画像の編成)はゴールドとパーブルの塗り分けで“紫おん”の愛称があります。
本来はこの他に、1928年から導入され、いまなお7両が現役の161形が存在しますが、非冷房のため夏季は平日ラッシュ時以外運用されていないようで、日曜日のこの日は見かけませんでした。すでに経年80年を超えながらも現役で活躍する161形は一見の価値、乗車する価値大有りかと思われます。
時期的にこの時間帯だと電車がどうしても沿道建物の影になってしまうことから、電車と背景のあべのハルカスがきれいに映らないのが残念でした。もう少し遅い時間帯なら電車に日差しがあたって、あべのハルカスもはっきり映りこむのでしょうが・・・
このあと、南海電車高野線帝塚山駅へ向かいます。(次回以降に続きます)