
2008年9月1日の日経新聞です。リーマン危機を調べ直そうとめくっていたら見つけました。7年前の話なので、現在と状況が異なる部分があるかもしれませんので、ご了承ください。
店頭にはたくさんの化粧品が並んでいます。それぞれのパッケージには、「肌にはり」「唇にうるおい」といったキャッチコピーから「天然成分配合」「無添加」など商品の特徴に関する説明があふれている。
だが似たような情報も多く、しかも差異が解りにくい。そのため化粧品選びに戸惑う消費者が少なくない。
「化粧品を買う時、以前はキャッチフレーズを気にしていたが、今は使用した友人の感想などを参考にしている」と山形県に住むA子さん(28)は話す。肌が弱く、化粧品選びにはずっと苦労していた。
無添加なら余計な成分が入っていないだろうから肌に合うと思って無添加をうたう化粧水を使てみたものの、肌が荒れ、かゆみを覚えたこともある。
「弱酸性」「敏感肌用」と言った宣伝文句を参考に他にも試したが、やはり合わなかった。「合う合わないは個人差があるのだろうけど、書いてある表現はよくわからない」。
返品したいが・・・
「無添加」「自然由来」「天然成分」。化粧品のパッケージには肌や体によさそうな言葉があふれている。だが実際にこれが何を意味するのか、正確に読み解ける消費者は少ない。
例えば自然由来と無添加を同義と誤解する人もいる。「通販で自然由来の成分で作られたハンドクリームと洗顔クリームを無添加だと思い購入したが、実際の成分を見ると無添加ではなかった。返品可能か」。東京都の消費者生活センターに2008年に寄せられた相談の一例だ。
自然由来と聞くと人工物が一切添加されていない印象を持つが、実際には植物などから抽出された原料から化学物質を生成し、使用した場合でも自然由来、無添加とは全く異なる。
国民生活センターによれば「違いがわらない」「誤解していた」と言った化粧品の広告・表示に関する相談は2004年度から増加。07年度も646件と前年度比約4割増えた。
売るために凝る
化粧品の表現は薬事法で「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、または流布してはならない」と規定されている。ただメーカー側からすれば、セールスポイントを消費者に上手く伝えなければ売り上げにつながらない。
化粧品コンサルタントの梅本博史氏は「広告や商品説明などで効果・効能の協調が禁止されている分、各社限られた範囲で表現を工夫する。同じようでも意味合いが微妙に異なり、消費者にとってそれが正確に何を意味するのか分かりにくくなっている」と解説する。
業界団体の日本化粧品工業連合会は基準を明確にするために08年3月に「化粧品等の適正広告ガイドライン」を発行した。薬事法の解釈をより具体的に解説し、配合成分などについては『天然成分を使用しているので安全』(中略)などの表現は行わないこと」などと示している。
あふれる様々な表現に、消費者はどう対応すればよいか。日本消費者連盟の水原博子専務局長は「基本的に化粧品のキャッチコピーや説明は利点しか述べていないと思ったほうがよい」と指摘。「自分に合った化粧品を選ぶためには、化粧品に含まれる成分表示を確認する手もある」と助言する。
購入の際、選択の参考となるのが化粧品に含まれる成分だ。薬事法では化粧品(医薬部外品を除く)について、含有する全成分の表示を義務付けている。パッケージに記されているので商品選びの目安にするといいだろう。
消費者への情報提供として、ファンケル(4921)は自社のホームページ上で使用成分それぞれの目的を掲げている。炭田康史化粧品研究所長は「商品説明だけでは、商品の安全性などが正確に伝わらない。すべての成分についてそれが何のために使われているのか知りたいというお客様は多い」と話す。
成分表示の情報を生かすには「医療機関でのパッチテストやアレルギーテストで自分に合わない成分を特定しておくのも良い」と化粧品に詳しい医療ジャーナリストの市川純子さんは指摘する。
特に自分に合う化粧品がなかなか見つからない人には有効だ。「商品の情報に頼るのではなく、賢い消費者になってほしい」と助言する。
▼成分確認は企業任せ 化粧品(医薬部外品を除く)に義務付けられている全成分表示。ただ含有成分のチェックは製造・販売元に任されているので、時には使用が許されていない成分が含まれているのに消費者に出回ってしまうケースがある。
例えばラバンナ(東京・新宿)が輸入販売した顔用クリーム「NOATOクリーム」。効き目が強く、化粧品には使用できないステロイドの一種「プロピオン酸クロベタゾール」が検出され、2008年7月から回収対象となっている。使用した消費者から国民生活センターへ「効き目が強すぎる」「使うのを止めると症状が悪化した」などの問い合わせが相次ぎ、商品テストを実施して問題が発覚した。
膨大な種類の化粧品でこのような問題が起きるのはごく一部だ。ただ、消費者の安全を守るには製造・販売元による成分表示が誤っていないか、事前に第三者機関が調べることも必要だろう。