製薬大手、M&A活発に 主力品特許切れ | マクロ経済のブログ

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 世界の製薬業界で大型M&Aが再び活発になってきた。主力製品の特許切れが相次ぎ、後発医薬品メーカーとの競合が激化。

規模拡大が望みにくくなった世界大手各社はM&Aによる局面打開に動く。大手の再編が10年間なかった欧州が震源地になりつつある。

 「これから5年で研究開発費が増加する。強い分野に絞り投資を続ける」。製薬世界首位のノバルティスのジョセフ・ジメネス最高経営責任者(CEO)は22日、英グラクソ・スミスクライン(GSK)との間で、抗がん剤事業の買収とワクチン事業の売却を柱とする事業再編を決めた。

 ノバルティスは多角化路線と決別し、抗がん剤など医療用医薬品に投資を振り向け、バイオ医薬で先行するロシュ(スイス)などに対抗する構えだ。GSKもぜんそくなど呼吸器系やウイルス感染症、ワクチンなどの領域に絞る。

 22日にはカナダのバリアントが、しわとりの医薬品「ボトックス」が主力の米アラガンに約450億ドル(4兆6000億円)で買収提案したことが明らかになった。

 米調査会社IMSヘルスによると、2013年の世界の医薬品市場は8746億ドル(約89兆2千億円)と12年比で4.5%成長したが、大手10社で増収率が市場平均を上回ったのはロシュなど3社だけだった。特許切れになった製品と同じ成分を使う低価格の後発医薬品にシェアを奪われた結果だ。

 自社ですべてを補完する新薬候補にも乏しい大手はM&Aを積極化しつつあり、有力企業を巡る買収額はつり上がりやすくなっている。

 今後の再編で最大の焦点となっているのが英アストラゼネカだ。主力製品の統合失調症治療薬「セロクエル」の特許が切れ、12年12月期から2ケタ減益が続く。13年に米大手との糖尿病合弁の全株取得を決め、抗がん剤領域の強化に向け米英2社を買収した。

 そのアストラゼネカに触手を伸ばすのが米ファイザー。20日付英紙は600億ポンド(約10兆円)で買収交渉をしていたと報じた。

アストラゼネカはコメントを拒否しているが、両社は企業価値算定を巡り交渉が暗礁に乗り上げたとされる。英紙によると、アストラゼネカは投資銀行2社とアドバイザー契約を結び、ファイザーからの買収攻勢に対抗するとみられる。

 製薬業界では09年に米ファイザーと米メルクが米同業を買収したが、欧州どうしの再編は04年の仏サノフィ・サンテラボ(当時)と仏アベンティス(同)の合併以来ない。今後は欧州大手を巻き込む再編の動きに火が付く可能性がある。