中国の家電最大手、海爾集団(ハイアール)は米投資ファンドのKKRから34億元(約540億円)の出資を受け入れると発表した。
上海証券取引所に上場するグループの中核企業、青島海爾が10%の増資を行う。調達資金はグローバル展開や、IT(情報技術)と連携した「スマート家電」の開発などに充てる。
青島海爾が9月30日夜に発表した。増資の時期は明らかにしていない。青島海爾の梁海山董事長は「KKRと長期的な戦略提携を結ぶことは、ネット重視の経営を進めるための重要な措置だ」との声明を発表した。
中国メディアによると、青島海爾は増資に合わせKKR側から役員を1人受け入れる。中国企業はコーポレートガバナンス(企業統治)を問題視されることも多く、有力ファンドに経営参画を求めることで市場や海外投資家からの信頼を高める狙いもあるようだ。
英調査会社によると海爾は2012年、洗濯機で12.4%(出荷額ベース)、冷蔵庫で16.8%(同)のシェアを持ちいずれも世界首位。
東南アジアや米国に現地生産拠点を持つほか、12年1月に三洋電機から「アクア」ブランドの冷蔵庫・洗濯機事業を買収。
M&A(合併・買収)も使ったグローバル展開も加速している。今後も新市場を開拓するため、KKRから資金に加えて助言も受けたい考えとみられる。
海爾はまた「インターネット重視」の経営方針を打ち出している。海爾集団の張瑞敏・最高経営責任者(CEO)は「白物家電とAV(音響・映像)機器を組み合わせ『スマート家電』を一体提供したい」と話す。
中国内にある3万店以上の専売店とネット販売を組み合わせ、受注後ただちに配送・据え付けすることも目指しており、調達した資金はこうした分野にも回す見通しだ。
海爾グループは事業持ち株会社の海爾集団が、上海上場で冷蔵庫やエアコンを手がける青島海爾と香港上場で洗濯機などを手がける海爾電器集団を抱える経営形態。
海爾電器は11年に米投資ファンドのカーライル・グループから約9%の出資を受けると発表した。KKRは9月末、パナソニックからヘルスケア事業を買収することで合意。日本を含めアジアでの投資に積極的とされる。