2020年11月の連休3日目は、日本百名山大菩薩嶺に挑戦してみることにした。

 

前のブログにも書いたが、私は外反母趾があり膝もよくないので、登山などすると下りで足の指と膝が痛くなってしまう。それに体力もない。

そのため、自然は好きだが登山は辛い、痛い、と思ってほぼ行っていなかった。

けれど、コロナにより普通の旅行が憚られるようになり、それでも行けるところとして

「一人で外(山などのアウトドア)に行くのは、そんなに問題はないのではないか」

という自己判断でトレッキングや、簡単な登山に手を出すようになったのである。

 

しかし、前の二日間で慣れないトレッキングシューズを履いて歩いたことで、足の痛みはかなり強まっていた。

「こんなことで恐れ多い百名山に、私ごときが登れるのだろうか・・」

とも思ったが、絆創膏とテーピングテープを購入し、足を補強して予定通り挑戦してみることにした。

 

百名山、と偉そうなことを書いたが、山登りをする人は当然ご存じだろうが、その頃の私のように山に行かない人にとっては、「百名山」という響きだけで、すごい山で普通の人には登れないと思ってしまうのではないか。

それも「筑波山」といった気軽そうな名前の山ではなく、「大菩薩峠」という小説になっている山で、そのタイトルの雰囲気(読んだことはない)から、とても険しそうだと想像していた。

しかし、山梨のその近辺で素人にも登れる山、というので検索していると、なんとその大菩薩峠がある大菩薩嶺が出てきて、しかも日本百選に加えられている名山、ということで、これは一つ試してみようかと考えたのだ。

 

甲斐大和駅からのバスには、初心者でも登れる百名山、ということで、多くの登山者が乗り込んだ。

皆、仲間と一緒で楽しそうであるが、そこは孤独を愛する私、これはこれでよし、と自分を励ましつつ、向かう山への期待と不安を抱えながら、バスは上日川峠に到着した。

 

バスを降りると、すでにかなり上まで来ていることが、澄んだ空気と遠くに見える風景から体感できた。

 

登り始めから木の間にチラチラ富士山が見えるので、テンションは上がりまくりであった。

 

とはいえ、バスで上まで来ているといっても、頂上までは距離は短いもののそれなりに急な登りで、息は切れ切れだった。

雷岩という眺望のよい場所に到達。とても気持ちがいい。

ここで皆休んでいたので、「ここが頂上だ」と思い込み、休憩後に大菩薩峠に向かう尾根道を進んでしまった。

しかし頂上はもっと先だったらしいので、結局私は頂上には行っていないのだ。

素人が知識もなく登っているとこういうこともあるが、そもそも「頂上を目指す」ことを第一義にはしていないので、まあよしとする(とはいえ、頂上はやはり目指したくなりますね)。

 

大菩薩峠に向かう尾根道は開放感にあふれており、気分よく進んでいった。

途中ゴロゴロと石が転がっている場所があった。

賽の河原みたいだな~と思っていたら、皆そう思うようで、賽の河原と名付けられていた。

私はこういった、荒涼とした風景が大好物である。

地獄に行ったことはないが、これが地獄ならそれもよしと思える。

 

そのまま進むと高名な大菩薩峠に到着。

 

その後、なぜか(?)薄暗く湿った場所に入ったので迷っているのではないかと少し焦った。

私は荒涼とした雰囲気(岩だらけで乾燥している感じ)は大好きだが、

こういったコケだらけの薄暗い場所も好きだ。

 

と思うと、また開けた場所に。

もちろん来た道を戻ってもいいのだが、私は基本的に同じ道を戻るのが嫌なので、周回するとこのような道になります。

 

後は下って元のバス停に。下りではやはり足が痛くなったし、バス停に着いたころにはへとへとだったが、無事登って降りることができた。

 

この後、山に行くようになって分かったのだが、百名山と言われているような山は、一つの登山でたくさんの表情を見せてくれ、しかもその表情がそれぞれレベルが高く、いろいろな驚きや感動を得られるコースを持っていることが多い。

 

東京の隣県に、こんな雄大な場所があり、自分のような人間でも登れて堪能できるなんてすごいと改めて感動した。

大菩薩峠、というおどろおどろしい小説のタイトル(あくまでイメージです)から、とてつもない厳しい山かと思っていたが、険しい表情も見せてくれつつも、私のような素人でも受け入れてくれる懐の広さにやられた。

 

これで「登山ってやっぱりいいなあ」とすっかりその魅力にはまっていった。