混んでいた電車が

一気にがら空きになった。


“鎌倉”

そっか、紫陽花の季節だもんね


アルコール専門病院までは

終点からバスに乗る。


私はどうやら お酒に関係無く

根本的 方向音痴らしいのだが💦


“乗換案内”なんて

便利なアプリのおかげで

なんとか

到着出来るようになってきた。


この病気の人は。

いや、アルコール依存症に

なりかけの人も 大なり小なり

経験がお有りだろうけれど。


私は、数限りなく

電車を乗り越して 

行方不明になっている。


鉄道関係の方にも

警察にも 多々 お世話になった。


飲んでから 乗車する。

もしくは 小綺麗なハンカチで

銘柄が見えないように缶を隠して

飲みながら 乗っている。


近くに乗っていた人には

当然バレてたんだろうな~💦

気にしちゃいなかったけど。


んで、座れたら 寝落ち。


気がついた先は見知らぬ場所。

パニックして

「まずは落ち着かなくちゃ」

と また飲む。


こりゃあ

帰ってこれない はずなのだ。


世の中で言われている

一般常識ならば

※非難轟々 雨あられ

最後は「信じられない」で

締めくくられる。


そうだよな

よく周囲から言われたのは

「自分の意志で飲んでるんだよね?!」

ってこと。


亡くなった夫からは

「誰かに口をこじ開けられて

飲まされたのか?違うよね?

“自分で”買って飲んだんだよな?

あんなに約束したのに」

って殴られた。


ソコラヘンなんだよな~💦

理解されっこ無いし

自分を責めて 追い込んで

自暴自棄になって

また 飲む。


“底つき”って言葉があるけれど

底無し沼の“時期”もあったりする。


ずぶずぶと自分の体が沈んでいくのを

無表情なまま

すぐ隣で傍観していた“私”を

私は、知っている。


「自分の意志でやめればいい」

そう言い訳しながら飲んできた若い私。


「パパがお酒を飲みすぎるのは

ママがヒステリーに怒鳴るからなの?

私さえ良い子にしてれば

喧嘩にならないの?」

毎日びくびくして悪い点のテストを隠していた幼い私。


自分でどーにか出来る!

なんて考えは、傲慢だったんだ…。


だけど

毒も薬も自分の中にあるのも

ホントなんだ…。


『この病をナメテはいけない』


20数年アルコール依存症をやってきて

なんとか生きている私が

言えるのは

これだけなのかも知れない。


病院への行き帰り

ふとした景色 風の匂い


また 思い出す。

辛くて悲しくて虚しい 長い時間。


と同時に

生まれてから今に到るまでの

笑っていた記憶を今の私は

探っている。


※ひなんごうごう【非難囂囂】

過失やあやまち、欠点などをとりあげて、責め立て、とがめる声が大きくてやかましいこと。