なぜ自分がおそらく人の記憶に残りやすいのか。
それは逆パターンで考えてみて、気づいたのである。
自分の中でいちばん印象に残っている女性はどんな人だったか。
答えはシンプルだ。
自分が話したらちゃんと聞く。
頼んだら、普通にやってくれる。
これだけである。拍子抜けするほど単純だ。
「ねえ、これお願いしていい?」
「いいよ、やっとくね」
はい、もう勝ち。これで記憶に居座る権利を獲得である。
変に駆け引きとかいらない。ただの“ちゃんと人間”でいい。
逆にどうか。
「ねえ、これお願いしていい?」
「……(無視)」
誰だお前、壁か。論外である。
もう一つ。
「これお願いしていい?」
「え、無理」
早い早い。0.2秒で拒否するな。自動ドアか。これも論外である。
結局、人の印象に残るかどうかなんて大層な話ではない。
ちゃんと反応するか、ちゃんと少し応じるか、それだけである。
つまり自分は、それを無駄に丁寧に、しかも過剰にやっていた側の人間である。
そりゃ残る。良くも悪くも、である。
優しさというより、ただの“反応過多な装置”。
だが、そのくらい雑でも、人の記憶なんて案外簡単にハックできるのである。
