本日の売買
<現物売>
シーイーシー 100株
ルールに従って損切り
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~昨日の続き~
「オレにこのカメラワークを教えてくれたのはよぉ、『ローアングルのテツ』の異名をとる伝説のカメラマン「テツ兄い」だった。
あれはオレがまだ駆け出しのカメラマンだった頃のことだ。
当時は従順な子羊たちだった日本国民は文句ひとつ言わず受信料を払ってくれてたんだ。役員側もすっかりそれに胡坐かいてよぉ、視聴者の皆さまが本当に求めている絵を提供できてなかったんだよ。
職人気質だったテツ兄いは常々そのことを嘆いててなぁ・・・
(以下『 』内、カズの思い出の中のテツ兄い)
『カズ。俺たちカメラマンはなぁ、映像でブラウン管の向こう側に笑顔と希望を送り届けるのが仕事なんだ。そのためにはブラウン管の向こう側で視聴者の皆さまがどんな時間を過ごしていて、どんな辛い目にあって、その合間に何に心の休息を求めているのか、その心が分からなきゃいいカットは撮れねぇ・・・・
(遠くのビルを眺めながら)なあ、カズ。あのビルの中ではなぁ、24時間戦えますか?って無理難題を押し付けられてるサラリーマンの皆さんが、襲い掛かってくる睡魔とストレス相手に必死に戦いながら働いてる。小さなマイホームと大事な家族を守るために必死になって働いてる。来る日も来る日も家族が寝ている間に帰宅して、まだ家族が寝てる間に家を出るんだ。まだ寝ている家族に向かって、玄関から「行って来ます」って小声で呟いてな・・・
オレはよぁ、新橋の飲み屋でネクタイ鉢巻き代わりに回してがなり声上げてるサラリーマン見てると何だか切なくなってくんだよ。あのバカ騒ぎの裏には同じだけのクソみてぇな社畜生活があって、会いたい家族と会えない時間が積もりに積もってて・・・ あの人たちはそんな矛盾の中で崩れそうになる己の心のバランスを取るためにバカ騒ぎしてるとしか思えねぇんだよ。オレはそんなサラリーマンの昼時のもっとも眠たい時間帯によ、少しでも何か目の覚めるような映像を届けてぇ、そして少しでもあの人たちが笑顔になれるように何かしてぇ、何か・・・ それを自問自答し続けてんだよ。』
「カズさん、テツ兄い、って本当に優しい方だったんですね・・・ オレもカメラマンのいろはを教えてもらいたかったっス・・・」
「そうだな・・・ おめぇみてえな路線踏み外し系はきっとテツ兄いも可愛がってくれたろうな・・・」
~来週に続く~