*このブログはWerewolvesのネタバレを含みます
「…おいおい」
「吹きさらしの屋根に、取ってつけたような本棚と蔵書……図書館にしちゃあ随分お粗末じゃないか。内装がここからでも見えるな」
「……俺も随分とお人好しになったもんだ。のうのうと敵陣に入り浸って友好的な振りを見せつけてな」
「こんな村もろとも俺一人で皆殺しにできるのによ……」
(クソっ……いまいましいオオカミ語だらけだ……)
「あら?お兄さんそれウェアウルフ図書よ。意味わからないじゃない?」
「ああ……?適当に手に取ってみたんだが、どうりでな……。ここの司書か」
「ムーンウッド・ミル図書館の司書、イヴォンヌ。本のことでわからないことがあれば、なんでも聞いて」
「グリフバーグのソルだ。ここで司書を務めているということは、イヴォンヌもウェアウルフなのか」
「ええ。でも群れにはまだ入ってないの。私がどちらの方に向いているかはっきりしてなくて」
「誇り高いウェアウルフの血に身を任せるか、力を制御する高潔なウェアウルフになるか……正直、決め兼ねてるの。ウェアウルフは全員群れに入れ、という決まりがないだけ、私も気が楽だわ」
「……そうか。良い決断ができるといいな」
「ありがとうソル。あなたもね」
ボリボリボリ……
(ウェアウルフの中にも派閥があることは聞いていたが……やはり人間と折り合いをつける派閥があるようだな……うーむ……)
夜、ライジェルはあるウェアウルフの家を訪ねていた
「…人のにおいがする。夜に客人とは珍しいな」
「初めまして、ウォルフガングさん。僕はライジェルです。春にこの村に引っ越してきたライターです」
「……ライター?そうか、だから私の名を知っているのか」
「ちなみにだが、私の執筆業としてのハンドルネームも知っているのかね?」
「いえ、ウォルフガングさんが作家をしていらっしゃると聞いただけで」
「最近この村に引っ越してきたばかりで、この村の歴史も、2つのグループについても全て又聞きなんです。作家でありながらウェアウルフであるウォルフガングさんなら、この村についてもお詳しいのでは、と思いましてね。あと、同業者…という面でも個人的に興味がありまして」
「ハハハ、この村に興味があるとは、なかなか面白い青年だね。私は"ヴルフガング・モルダー"という名で物書きをしている傍ら、ムーンウッド・ミル図書館の司書をつとめているんだ。君が2つのグループを知っているということは……ムーンウッド集合体も知っているのかね?」
「ええ、少しばかり。あなたはそちらの群れに所属しているのです?」
「そうとも。私にとって第二の我が家のようなものだからね。人間もウェアウルフも分け隔てなく優しく接する、彼らの理念に共感しているのさ」
「なるほど。……僕もムーンウッド集合体に入ることはできますか?」
「いや、私はただの群れの一員に過ぎないから、どうこうはリーダーが決める。クリストファーがこの群れのリーダーだから、彼に頼んでみなさい。よければ、私から彼に先に伝えておくこともできるが……」
「いや……僕が直接尋ねてみます。ウォルフガングさん、ありがとうございました」