"才能を持って生まれた者、神に選ばれし者は、常に高みを目指してのぼろうともがくんです。
成功は足枷なんですよ。成功すれば成功するほど、才能はその成功から自由になろうともがくんです。
もがく事をやめてしまえば、才能は成功に捕われてしまいます。そして死にます。"


柴田よしきさんの激流という作品の一文である。正確に言うと太宰から引用して解釈したものなのだが、なんとなく言いたい事が判るというか、なるほどなーって思えるというか、そういう感じ。


人間の才能なんてのは人によってまちまちである。人と話すのが得意だったり、音楽を作るのが得意だったり、文章を書くのが得意だったり、人を愛するのが得意だったり、人から愛されるのが得意だったり、煩雑に入り組んだ世界をほぐすのが得意だったり、人から搾取するのが得意だったり、人をイラっとさせるのが得意だったり、人をなだめて丸く収めるのが得意だったり、、、。


いろいろある。


あるんだけれど、そういうものはなかなか自分では気づかないものなのだ。自分で気づけて、自分でうまいこと立ち回れる人間ってのも少なからず居るだろうけれど。そういう人たちでも最初のキッカケは人から言われたりすることで気づいてたりする。また、まったくそんな才能なんて無いのに勝手にあるのだと思い込んだりしていることも多々ある。


幼い頃から、ボクにはなんの才能も無いと思っていた。運動神経も無いし、学校のテストなんかは簡単だけど常にパーフェクトではなくしょうもないミスをするし、女の子にはモテないし、ああ、ボクには何の取り柄もないのか、と産んでくれた親に八つ当たりしそうになるほどであった。


そんな事を思ってから何年も経過しているけれど、ボクは相変わらず自分の才能っていうやつに気づかないでいる。会社を創ってみたり、いろんなスポーツをしてみたり、気になった事はあれやこれやと試してみたりするけれど、どれもこれもバチッと嵌る感じがしない。


「好きこそものの上手なれ」なのだろうか、それとも「下手の横好き」なのだろうか、あるいは「門前の小僧、習わぬ経を詠む」なのだろうか、わかんない。


こないだ、ボクの知人である男が、ボクにぼそっとヒトコトつぶやいた。


「お前はアイデアマンやと思うで。」


ああ、そうかもしれない。ボクはしょうもないアイデアならいくらでも思いつくのだ。アイデアなんてもんは誰でも簡単に思いつくじゃないかと思ってしまうくらいポンポン出て来る。


ただ、これを実現させるには日本ではお金という力が必要であり、それを手に入れる能力が無い事が問題なのだろうと思う。多分それが手に入れば、ボクのしょうもないアイデアは結実し、何かしら社会的に影響をもたらすものが出て来るかもしれない。


ボクにその才能もあるよっていう思い込みのようなマインドコントロールをしてほしい。



次回は「名言作家の作り方」でも書こうかしら。