自民党の長期政権が続く中、政治のよどみと制度疲労が顕在化している。健全な民主主義のためには、政権交代可能な二大政党制の確立が不可欠である。だが現状、野党勢力は分散し、対抗軸としての力を十分に発揮できていない。
立憲民主党の安住淳氏は、「本気で政治に向き合っているのは、自民党の高市早苗氏と立憲の野田佳彦氏だけだ」と語った。この発言は、野党内の覚悟と実力の差を鋭く突いたものである。維新や国民民主など比較的新しい政党は、自民党との連携によって「政権を動かしている」という実感に魅力を感じているように見える。だが、その動機や経験、政策遂行能力には疑問が残る。今回も、老練な自民党の戦術により、野党は切り崩される結果となった。
こうした状況下で、政権交代の現実的可能性を持つのは、依然として立憲民主党である。今後、立憲は新興政党との連携に見切りをつけ、主義主張の違いを乗り越えて、公明党との本格的な連立を模索すべきであろう。公明党は長年の政権運営経験を持ち、一定の信頼性と政策遂行力を備えている。加えて、維新や国民民主から離脱する議員の受け皿として、立憲がその器を広げることも重要である。
成熟した野党勢力の形成は、単なる選挙戦術ではなく、民主主義の根幹を支える責務である。立憲民主党には、理念と現実の間で揺れ動く政治の荒波を乗り越え、国民にとって信頼に足る選択肢を提示する覚悟が求められている。