石破首相が辞任の意向を固めた。理由は「党の分断を避けるため」とされる。
しかし、ここでいう「党の分断」とは、派閥政治をやめようとしない勢力を排除することを意味していた。本来、それなくして古い自民党体質を壊すことはできなかった。したがって、党の分断は、日本の政治を真に思う石破首相や国民にとって、むしろ最善の判断であったはずだ。
ところが石破氏は、小泉大臣による浅慮な判断に影響され、自らの初心を見失い、結果として古い自民党政治へと逆戻りさせてしまった。これからは派閥の力学によって新しい首相が選ばれるだろう。派閥の古株や安倍派の残党たちは祝杯をあげ、密室で次期総裁を誰にするかを話し合うのだろう。自民党は完全に元の姿へと戻り、解党的出直しは遠のいた。これは果たして国民が望んだことなのか。
今回のマスコミ報道もあまりにも傍観的で、その結果、世論は政治に届かなかった。報道機関の責任も極めて大きい。
悔やまれるのは、なぜ首相が小泉氏や菅氏に相談したのかという点だ。環境大臣としての職務やコロナ対応など、これまでの経緯を見れば、二人の判断が常に不適切であったことは明らかだったはずだ。説得力だけはある“口先”の小泉氏を相談相手に選んだことは、石破氏の最大の誤りであった。
どうせ辞めるなら、石破氏には相打ち覚悟で自民党を解党し、健全な日本の政治のしくみに向けたスタートを切ってほしかった。最悪の終わり方である。