社会において最優先すべきは、「他人に迷惑をかけないこと」である。
近年はジェンダーや多様性の尊重が盛んに叫ばれているが、それらは個人の自由や尊厳を守るための重要な価値観であっても、他人に被害を及ぼさないという前提の上に成り立つ。例えば、自己表現や生き方の選択は自由だが、公共の場での振る舞いや言動、不特定多数が見るテレビ番組への出演が、多くの人に不快感や不利益を与えるならば、その自由は無制限に認められるべきではない。
社会は多種多様な人々が共存する場であり、互いの価値観や立場が異なる以上、絶対的な正解は存在しない。そのため「迷惑をかけない」、「多くの人に不快感を与えない」という共通の基準こそが、摩擦を減らし共生を可能にする最低限のルールとなる。
ジェンダーや多様性を重視する議論も、この基準を欠いては独善に陥る危険がある。自由や権利の主張が社会的調和を損なえば、本来の理念が形骸化してしまう。結局のところ、他人に迷惑をかけたり不快感を与えたりすることを避ける姿勢を第一に置くことが、結果的に多様性も尊重しやすい環境を築く最も確かな道であろう。
もちろん、「どこでもやるな!」ということではない。場所を選ぶ必要があるということだ。女装をしたければ、全国放送のテレビ番組で強制的に見せつけるのではなく、人目のつかない自宅の部屋などでやればいいだろう。歩きたばこをしたければ、人のいない山奥でやればよい。