いろいろな大学病院の医師の紹介写真を見ると、腕組みをしている人が多い(証明写真ではなく全身がうつった写真や大学病院の広報のような冊子の写真、科の紹介サイト、雑誌での病院や医師特集などの写真)。歯科医になると、歯科医が複数いる中規模クリニックでも目につくようになる。

 例えば、小学校の教員や銀行員、デパートの店員や営業担当者で腕組みをしている実際の人や写真、映像などを見たことがない。

 傲慢な心や能力が優れているように見せたい気持ちの表れなのだろう。あまりにも恥ずかしくて、私にはできない。

 以前、指導主事が「腕組みをすることは体の前でバツ(腕で✕印)を作ることで、子どもの前でやってはいけない。信頼関係ができない」と話していたことを思い出した。まったくその通りだとも私は思わないが、腕組みをしている人を見て、少なくともいい気持ちにはならない。オフィシャルな場面や式典、天皇陛下の前などではできないマイナス表現である。

 医師は実力で能力で勝負してほしい。他人の命や健康が仕事の対象なのだから。「実ほど、頭を垂れる稲穂かな」。