ネット上の口コミが、世論や社会を動かすほどの力を持つようになった。その口コミは、嘘や作り話、個人的な思いを、あたかも事実や正当性のあるものとして断定的に書くことも自由である。そのような情報で、社会や国民(世論)が動いていくことなどあってはいけない。無責任な嘘情報、意図的な不適切情報によって、国益や国民の生活、生命に影響が出てしまう状態になる。

 例えば戦争になった時、日本政府がネット上に嘘情報を広げ、国民全体が「戦争賛成!」、「相手をやっつけろ!」という気持ちになり、自衛隊だけではなく国民の多くが戦争に参加することになる。今の世界の兵器では、戦争に参加すれば多くの日本人も亡くなってしまう。かくして、第二次世界大戦と同じことが繰り返されてしまう。先の大戦後に行われてきた戦争反対のあらゆる努力が、簡単に無になる。ネット上の口コミやブログ、インスタ等々のあらゆる情報には、正当性や正確性が保証されていない。

 いや、ネット上だけではなく、テレビ局からの情報に至っては意図的で露骨な世論操作がひどく、様々な所との癒着によって不公平・不正確で偏った情報に溢れている。さらにいえば、各国の政府や報道官が発表する内容も作り話や事実ではないことを事実のように主張することが結構ある。

 人は、聞いたことが事実かどうかを判断するためには、根底となる知識(=情報)を得る必要があるが、その情報さえも事実かどうか、客観的かどうかがわからない。その人が嘘情報や偏った情報を聞かされても、何ができるというのだろうか。

 情報を適切(理想的)に扱うことは現状では不可能である。非常に難しいことであるが、この情報の適切な扱い方と仕組みの構築を専門家に期待したい。