平日の夕方に放送されているTBSの「Nスタ」は、テレビ番組欄の番組説明を見ると、毎日「いま、いちばん大切なことを、話して伝えます」と書いてある。これは、許される表現なのだろうか(正しい表現なのか)。
一番大切なことかどうかは、人によって異なるし、客観的に公平公正な情報を見た人が判断することである。広く社会にとって大切なことと言う意味であれば多くの多様な視点から多くの専門家によって取材、分析しなければ、結論は出せるものではない(関係する要素があまりにも多く、価値観もみな異なるので、正確な結論を出すことは実際は不可能であろう)。軽々に「今一番大切なことを・・・」などと言うのは、嘘や詐欺のレベルの不適切表現だと私は思う。
実際に番組を見てみると、1つの視点からのみ取材し(おそらく結論ありきのテレビ局の意図に沿った取材やフリップまとめ)、キャスターはその内容に沿った主張を吐き捨てるように格好をつけて力強く話して、正当化しようとしている(この部分が「話して伝えます」にあたるのだろう)。私は恥ずかしくて見ていられず、他の番組を見るようになった。
民放のニュース番組は、カモフラージュするようになった分、以前よりたちが悪くなったといえる。テレビ局は、何でもやってしまう。ジャニーズ問題の時に自主検証で逃げ切って(完全な第三者委員会に調査と報告を任せることを拒否して)反省を逃れたことが、テレビ局の暴走を続けさせることになったと思う。あの時、学者や弁護士、国民、国連などがテレビ局の自主検証(加害者による検証)を許さなければ、その後のテレビ局は違う方向に進めたと思う。マスコミ業界においても、テレビの影響を大きく受ける社会においても、非常に大きな分岐点だった。残念である。
これからでも、世紀の大事件についてテレビ局が外部調査を受け入れて反省しない限り(悪事について罪を償わず知らん顔をして普通に仕事を続けている限り)、どんなに立派そうなことを言ったとしても私はテレビ局を信用しない。