エッフェル塔の周りは、エッフェル塔が高く美しく見えるように整備されている。
もしエッフェル塔の高さと美しさを台無しにしてみてくださいと言われたら、塔のすぐ横にほどほどの高さの高層ビルでも建てるだろう。
日本は、それを自ら進んでやってしまう。例えば、スカイツリー、六本木ヒルズの森タワーなど高くて美しく見事なデザインの高層建築物を作っても、その高さや美しさを壊すかのように、すぐ横に低めの高層ビルを1、2本付属で建てる。美しさや景観、文化などよりも、都市機能や利益といった経済面を最優先にするから、平気でできるのだろう。
経済をすべてに優先させるのは、余裕のない発展途上国だけである。アジアの中の先進国と言っても、欧米に比べると日本は精神面においてはまだまだ発展途上にある。
話は逸れるが、日本には木材さえ使えばよいと思っている建築家もいる。だから、ビルの壁に無造作に木材をたくさん張り付けたような幼稚で見た目が悪く残念なデザインの建物もある。何らかの信念でどの建物にも木材を使っているのだろうが、建築は個人の願いや理屈よりも、まずは見た目のデザインが最優先で、次が機能性、次に周囲とのバランス、そしてその次あたりに建築士の願いが来る程度にしておいたほうがよい。どのような理由をつけても、単純に見た目が悪ければ話にならないだろう。