和田アキ子氏が、やり投げの北口選手に悪口を言った件で、テレビを通して謝罪した。私も見ていたが、前半部分(いや、前半の9割)の自己弁護はいらなかった。
核心部分だが、かわいくて動物に例えたというが、本人を目の前にして直接「○○みたい。かわいいね」と言えたであろうか。「○○みたい」の部分は、悪口でありその人を傷つける表現だと和田氏も認識しているから、直接北口選手に言うことはできないはずである。「○○みたい」と「かわいい」は、和田氏の中で関連していないのである。嘘の言い訳、詭弁であった。それを謝罪の場で、自己保身のために言うか。和田氏の場合、事前に原稿を書いて、第三者にチェックをしてもらったほうがよかった。
いずれにせよ、北口選手は自分を○○に例えられたことを死ぬまで忘れないだろう。悲しさや(世間に対する)恥ずかしさも死ぬまで続くと思う。それに、今後の試合においてリラックスしたり体のバランスを整えたりするためのあのポーズをとることもできなくなり、記録にも影響してくる可能性がある。
和田氏は取り返しのつかないことをした。今後どうやって責任を取るつもりなのだろうか。和田氏が全財産を支払っても、原状回復(「元の状態に戻すこと」)はできないであろう。北口選手がかわいそうだ。まさか、和田氏は謝罪するが責任はとらないつもりでいるのだろうか。
政治家やマスメディア、芸能人などは、言葉でゴメンチャイをして、あとはそのまま知らん顔という行動をとる。言葉での謝罪は責任を取ることにはならず、「私に責任があるからこれから責任を取ります」という意思表示に過ぎない。責任を取るということは、基本は原状回復プラス慰謝料(慰謝料とは、精神的苦痛への対価や、現状回復までに要した時間と実費代等)を支払うことである。現状回復が不可能な場合、いくらもらったら同様の被害をこれから受けてもよいか、アンケートなどの統計を基に算出するのが適切だろう。悪かったと謝罪しておきながら責任は取らないというのは、本当の悪人だと思う。