五輪選手達がスーツ姿で首相官邸を訪れた際、進行役のスポーツ庁長官である室伏氏がブレイキンの初代女王AMI選手に対し、「即興が得意ということであれば、もし、ちょっと場を和ますというか、お時間もありますので(披露するのは)いかがでしょうか、AMI選手」とその場でやってみせるように促した。AMI選手は「スーツじゃ踊れないので、また機会があれば、すみません。お願いいたします」と丁寧に断っていた。

 「お時間もありますので」って、それなら選手達と総理がオリンピックの話題で楽しく会話が進むように、話題を提供したり話を振ったりするのが進行役の仕事であろう。情報も能力もない準備不足の人にこのような大切な役割をさせてはいけない。

 数十年前の公務員や会社員の世界では、本人の意に反してみんなの前で特技や芸をやらせることは日常的であったが、今の時代にまだこのようなことを口にできる人がいたとは驚いた。室伏氏は、社会と離れたところで生きてきたのだろうか。あまりにも世間知らずである。