パリ五輪卓球の早田ひな選手が準決勝で負け、3位決定戦に回ることになった。準決勝戦では、腕に黒のテーピングをたくさんつけて試合に臨んだ。黒のテーピングは初めて見た。なぜ一般的なベージュではなかったのだろうか。

 それはさておき、彼女は敗戦の弁を「コンディションが100%ではなかった。どこまで勝負するかっていう感じでしたけど、さすがに限界を感じた」と語った。コンディションというのは、おそらく黒のテーピングのことだろう。しかし、負けた原因をコンディションのせいにしてはいけない。私は実力の差で早田選手が完敗したと思うが、万が一コンディションのせいで負けたとしても、言い訳を口にすることは恥ずかしいことである。

 先日のブログにも書いたが、実力のある選手というのは、技術だけではなくスタミナや丈夫な体作り、健康管理、セルフコントロール等々、多くの点において優れていなければ、本当の実力者とは言えない。世界一にはなれない。彼女はこれまでもケガなどで棄権をする時があったが、強い肉体も実力の要素の一つである。例えば、足腰が弱くて力が入らない選手がいたとして、技術が最高に優れていても、フラフラしたり試合後半から下半身の動きが鈍くなったら、勝つことはできない。足腰に問題があって負けたのであって、実力ではないというのはおかしいことだ。また、怪我ばかりをして、試合そのものを棄権したりなかなか出場できないような身体の選手であれば、試合の勝敗以前の問題である。負けることさえできない選手は、代表失格であろう。

 腕が痛くなったから自分の力を発揮できなかったというが、試合をして(準々決勝)痛くなるような腕を持っているのもその選手であり、健康管理をしていたのもその選手である。すべてを含めてその選手の力、「実力」なのである。実力の一部の要素を切り離して、これのせいで負けたというのは、おかしな論理だ。

 日本卓球が世界一になれないのは、精神的な面が大きいと思う。試合中も自分でうなずいて見せたり、天を入れるたびにニヤニヤしたり、心の不安定さが垣間見える。女子卓球メンバーは誠実さと真剣さ、冷静さの3つを獲得しなければ、順位はずっとこのままだろう。今回五輪には出ていないが、伊藤美誠選手がチームの在り方(雰囲気や取り組む姿勢)に与える影響はとても大きい。果たして日本女子卓球が世界一になる日はやって来るのだろうか。