動物は、同じ種同士が殺し合いをする理由として、「縄張り争い」がある。自分のテリトリーに入ってきた者を、追い払ったり殺したりする。鳥類もそうである(殺すところまでやるかわからないが追い払うことはする)。学校で習ったり親が教えたりしなくてもそのような行動をとるので、本能として遺伝子に組み込まれているのだろう。
そうであれば人間も動物であるため、自分の領土と認識しているテリトリーに勝手に入ってきた者やそれを奪おうとやって来た者を命がけで追い払うことは本能と考えられる。そこに、後天的な学校での学習や家庭教育などで「平和が大切」、「みんなで仲良くしよう」という知識がくわえられる。しかし本能に勝るわけがない。
さらに悪いことに、人間は社会生活(経済生活)を送るうちに快楽的な情動を覚え、「欲」というものを獲得してしまう。「もっと欲しい(お金でも品物でも領土でも)」と思う気持ちである。したがって、自国の領土を命がけで守るのは当然、他国の領土もほしがるようになる(口にしない先進国でも本心ではそう思う)。
本能と、後天的に獲得せざるを得ない「欲」を身に付けた人間は、戦争をするか、がまんできるかの綱渡り状態で生きている。いつ戦争が起きても不思議ではない。すべては、後天的な教育力(道徳心)にかかっているともいえるが、本能や欲を押さえ続けることには限界があるだろう。