寅子は、だれに対しても、口癖のようにすぐ「はて」と言う。

「はて」という言葉について考えてみた。もし私が言うとしたら、誰に対してだろうか。おじいさんやおばあさんなどの年配者に対しては絶対に言わない。

 上司にも絶対に言うことはない。

 同じ年代の友達には、やはり言わない。もし言ったら、喧嘩を売っているようだ。嫌われて友達関係が崩壊しかねない。

 年下はどうか。中~大学生には言わないだろう。討論を吹っかけているようだからだ。少なくとも相手は馬鹿にされているように感じ、不快感を覚えるだろう。

 では、言い返してこないような小学生には言えるだろうか。私だったら言わない。覚えられて、いろいろな人に「はて」というようになったら困るからだ。

 親しい人に対してはどうだろうか。家族に対しては・・・、やはり言わない。仲が悪くなっていくだろう。思いやりも共感も感じられない言葉で、相手にしてみればいちいち大上段から否定されて、家族がぎくしゃくしていく感じがする。

 結局、誰に対しても、私は「はて」などと言えない。言いたくもない。