ある地域の小学校では、働き方改革の名のもとに考え出されたのが、「ノー残業デー」というものだ。1カ月に1度、学校ごとに日にちを決めて、教員全員が残業をしないで定時で帰ろうということになっている。馬鹿じゃないだろうか。夜遅くまで教材研究や授業研究の準備などをし、土日も出勤して採点や教室掲示をするなど、無給で無限残業をしてもこなしきれない仕事量を与えておいて、「早く学校から出て!(残業しないで帰宅して!)」と言われると、大量の荷物を持って帰り、家でやらなければいけなくなる。紙板書の準備など家でできなかった仕事は翌朝6時頃学校に行って急いでやらなければいけなくなる。教員にとって、仕事量が減らないままの「ノー残業デー」は、さらなる地獄なのである。頼むから、もう「ノー残業デー」はやめてくれ。これでは、教員いじめだ。
教員の働き方改革は、文科省が研修と校内研究と会議の時間を3分の1程度に減らし、授業専門と事務仕事(家庭学習の直しや採点、評価、校務分掌など)専門と生徒指導専門と家庭対応専門の4つの分野の専門の教員を配置するよう全国の教育委員会に強制的に命じなければ、学校の管理職の意識が本当の意味で変わることはなく、現実的に何も変わらない(校長や教頭が現場の教師に対して「早く帰って」など、さらに教師が苦しくなるようなことを形式的・短絡的に言うだけになる)。残業をする教師を、他の教職員が悪い目で見るような雰囲気を作っていかなければ、本質的には変わらない。遅くまで学校に残って仕事をしている教員を、すばらしいね、熱心だね、やる気いっぱいだね、などといった羨望のまなざしで見ることはもうやめようではないか。