教員の働き方改革に向けて、ようやく議論が始まったようだ。

 例えば、「無給残業時間を週15時間以下に減らす」、「週の1日は退勤時刻に帰宅させる」などと決められても、仕事量が減らないでそんなことをされたら、資料や教材もない家に帰ってから夜遅くまで働いたり、土・日丸1日出勤したりすることになるだけで、教員は余計に苦しくなる。それでは、おそらくほとんどの教員は、心身がもたないだろう。

 当たり前のことだが、(事務担当や保護者対応担当、生徒指導担当、行事・特別活動担当、クラブ・委員会担当、授業担当などのように仕事を分担するなどして)教員の仕事量を今の半分以下に減らすと、教員の働き方が実態を伴って変わっていくだろう。ここに手を付けず、「仕事量はそのままでむりやり帰宅させる」というのは、教員への「いじめ」に他ならない。

 働き方改革云々といっても、現状は仕事量が減るどころか、小学校では英語が始まり道徳が教科化され、プログラミング学習やCITなども入ってきて、教員はそれについて1から学習し教材化し指導法を考え実践しなければいけない。それらに関する授業研究(校内研修)のための指導案作りや事前授業、学年での授業検討会なども行われる。1日48時間あっても足りないくらいだ。ニュースや情報番組でも扱われずにひっそりと過労や自殺で亡くなっている教員は、全国で年にいったい何人いるのだろうか。国が過労死調査をしたとしても、コロナやワクチンによる死亡者数の時と同じように、関連を否定して「1人もいなかった(0人)」とするだけであるならば、嘘の調査などはやならいほうがよいのだが・・・。

 教員の働き方改革の議論は、わずか1か月間も授業や子供たちと生活をしたことがなく現場を知らない文科省の役人や研究者が、机上で空想(理想?)と経済のつじつま合わせをするだけでは何の意味もないどころか、余計に教員を苦しめることになることを肝に銘じてもらいたい。国は、現場の教員の声を聴きながら、間違った改革を行わないようにしなければ、少子化対策のように手遅れになるだろう(少子化担当大臣は、これまで女性素人が内閣改造の目玉としてのお飾り役で、全く成果を出せずに今の状況をもたらした)。