「セクシー田中さん」の原作者が自殺した件で、日本テレビが非難に耐えられなくなり、ようやく社内特別調査チームを設置することを本日発表した。

 第三者委員会ではなく、身内で調査をするということは、ほどほどにガス抜きをし、いいとこどりのつまみぐいでごまかしますよ(本当にまずいことは調べたり発表したりしませんよ)と宣言しているようなものであろう。ジャニーズ問題の時に、「社内調査」の味を占めたのだろう。愚かで気持ちが悪い。今回の問題で最もグレーな日本テレビが自分たちで調査のまねごとをしてごまかすくらいなら、やらないほうがまだよい。悪事に悪事を重ねてどうするというのか。悪事を働いた政治家に、自らの出処進退を決めさせる(そしてやめない)構造と同じだ。政治家とテレビ局は、本当に似ている。

 しかし、日本テレビによる社内調査を、マスコミも専門家も国民もだれも止めず、よって実行にうつされ、ほどほどの内容を発表し、許され、終わるのだろう。ひどすぎる。一人の命がなくなっているのである。茶番はやってはいけない。もうこれ以上悪いことはしないでだまっていてほしい。

 日テレは、この問題について言い逃れとお願いのコメント以外はだんまりを決め込んだり、遺族に対して慇懃無礼に繰り返し形式的なお悔やみを伝えたりしている。それが遺族にとってどれほど怒り心頭なことなのかもわからないのだろう。日テレは重要なことについて、話したり動いたりしてはいけない。それが最低限の人の道であろう。